「早稲田大学のアメフト部だから“日本一”を目指せるんです」マネージャーが語る熱い思い
早稲田大学米式蹴球部(アメフト部)
マネージャー:
東晃司(ひがし・こうじ)さん
2003年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学高等学院を経て、早稲田大学社会科学部に在学中。高校でアメフトに出会い、選手として日本一を目指し活動。大学進学後、マネージャーに転向してアメフト部に入部。「日本一になるべく、日々奮闘しています」。
早稲田大学米式蹴球部・マネージャーの特色
- メインはバックオフィス業務
- 外部と交流の多い担当も
- チーム内外について考えを深められる
早稲田大学米式蹴球部(アメフト部)・マネージャーの東晃司さん。今年2024年で創部90周年となる、伝統ある部活のマネージャーを務めています。
選手ではなくマネージャーを志したきっかけから、具体的な仕事内容や魅力、忘れられない思い出まで、たっぷりとお話しいただきました。早大アメフト部のマネージャーになったことで、自分の中に起きた変化とは…。
選手ではなく、マネージャーを志願した理由
ー高校時代はアメフトの選手だったそうですが、なぜマネージャーの道を選ばれたのでしょうか。きっかけを教えてください。
まず、アメフト部を選んだ理由からお話しします。大学入学時は、サークルに入ることも考えていました。新歓でいくつか回ったのですが、やはりずっと続けてきたアメフトへの思いを捨て切れなかったんですね。ずっと頭の片隅にあったんです。
後々、僕が後悔しないのはどの選択肢だろうか。そう考えて出した結論が、サークルより部活、そしてアメフトでした。
また、部の目標が「日本一になる」ということも大きなポイントでした。日本一なんてそう簡単に掲げられるものではありません。早稲田のアメフト部だからこそ言えることだと思い、ぜひ自分も経験したいと入部を決意しました。
選手ではなくマネージャーを希望したのは、プレーすることも好きでしたが、それより支える側の方が性に合っていると思ったからです。事務作業が好きということもあります。ですので、最初からマネージャーとして入部しました。
ー具体的なお仕事内容を教えてください。
早大アメフト部のマネージャーは、一般的なそれとは少し異なり、基本的にバックオフィス業務がメインです。OBOG担当やマーケ、他大との連携担当などがいて、僕は会計と連盟担当を兼務しています。
マネージャーというと、練習ではグラウンドに必ずいて、選手に水分補給などのサポートをしているイメージがあるかもしれませんが、うちの部のマネージャーはそういったことはしないんですね。別にSC(ストレングス&コンディショニング)という担当が行っています。
練習中にグラウンドで行う仕事はビデオ撮影くらいで、マネージャーはスタッフの中でも選手との関わりが一番薄いかもしれません。自分は競技経験があるので、もっと選手に近い仕事をしたいという気持ちは正直ありました。ですが、選手と同じくらいのモチベーションを持って、チームに携わることができればいいと思うようになりました。
大学スポーツは、もっとお金を生み出せると思う
ーお仕事のやりがいや魅力というと、どんなことがありますか。
マネージャーは、縁の下の力持ちだと思っています。選手のような活躍はできませんが、チームの成長を推進したり、外部からの信頼を得たりした時にやりがいを感じられます。
また、いろいろな人との出会いが大きな糧になっています。連盟担当は、関東学生アメリカンフットボール連盟の集まりに出向くことが多いんですね。そこでは、他大や上の世代、スポンサーである企業の方々と交流を持つことができます。いろいろな視点を学べて、とても刺激を受けています。
ーご自身に変化はありましたか。
連盟に行くようになり、価値観が変わりました。先述したように、僕はもともと日本一になりたいという思いもあり入部しました。そこからは、日本一につなげるにはどうすればいいかをずっと考えていました。つまり僕は、チーム内のことしか見られていなかったんです。
そのことはもちろん大切で今も常に思うことですが、チームを俯瞰できるようにもなったのです。そこから、大学アメフト界全体を盛り上げなければいけないと思うようになりました。
大学アメフトは、自分としてはとても魅力的ですが、世間的にはまだあまり知られていませんし、一時期は良くないイメージもありました。それを払拭し、もっと多くの人に大学アメフトの良さ、面白さを知ってもらいたいと思っています。
大学スポーツって、一生懸命に頑張っている姿や泥臭さでは評価を得ていますが、もっとお金を生み出すべき、マネタイズするべきだと思うんですね。
そのために僕がまず考えるのは、魅力的な試合演出をしていくこと。真剣勝負はそのままに、エンタメの要素も取り入れるのです。そうすれば注目されて観客が集まり、スポンサーも多くつきます。それを繰り返していけば、発展が望めるのではないかと思うのです。
箱根駅伝で脚光を浴び続けている青山学院大学の陸上競技部さんがお手本となる例だと思います。試合以外の露出も多く、大学の広告塔としての役割を果たせていますよね。
アメフトも、関東大学リーグでは東京ドームで試合を開催しています。ですから、大きな可能性を秘めていると思っています。僕たちも青学さんのようになれたらいいと考えて、実は連盟に加入している他大の方々に呼びかけて、学生組織を立ち上げたところです。観客動員について考えていく予定です。
この仕事を通じて見えた、貪欲に取り組むべきこと
ー気になる学生組織については次回、お話していただくとして(乞うご期待!)、マネージャーになったことで得られたもの、気づきなどで特に強調したいことがありましたら教えてください。
自分がやりたいと思ったことは、ちょっと無理をしてでも、貪欲に取り組んでいくことの重要性を感じています。
特にうちの部のような規模が大きいチームだと、マネージャーの業務は相当なものがあり、こなしていくだけでもけっこう大変です。それでも、主体的に物事を見て、課題に感じたことは変えていこう、という姿勢を持つことが大切だと思います。
というのも、僕は会計担当のみだったところに、連盟の仕事も始めたんですね。側から見ればすごく大変そうに見えると思うのですが、色々なことに興味を持ち、自分なりに考えることで、チーム及びアメフトに対してどう貢献できるのか。様々な角度から考えられるようになったのです。
貪欲に取り組んだ結果が失敗だったとしても、それは一つの教訓となり、糧になります。意味があることには違いありません。
ーちょっとしんどいな、と思うこともお聞きしたいです。
マネージャーに限らず、どんな仕事でもそうだと思いますが、責任を感じてしまうとしんどいですよね。
学年が上がるほど、それぞれの業務で責任は大きくなります。会計なら、自分の仕事ひとつでお金周りが決まってきます。マーケでは、部のイメージを左右することになります。メール1本打つにしても、部外の人に対して失礼になり得る場合も出てきます。
ただそれらをすることで信頼を得られたら、逆にやりがいや達成感につながりますよね。ですから、捉え方次第で、しんどいかどうかは変わるのかなと思います。プラスの結果に重きを置けば、負担はそこまで感じずに済むのではないでしょうか。
「甲子園ボウル」は一生忘れられません
ー東さんは4月から新3年生ということで、今年度はさらに充実した一年になりそうですが、現時点での「忘れられないエピソード」を教えてください。
1年生の時に、大学アメフト全国大会の決勝戦である、甲子園ボウルに行ったことです。関東と関西の代表が対決し、勝利すると日本一を手にすることができるという試合を経験できました。
負けはしましたが、自分たちがやってきたことに間違いはなかったという自信につながりました。そして、これまでのいかなる努力をもってしても、敗れてしまったという事実から課題も見えました。
選手は練習メニューや意識づけを変えていこう。僕たちスタッフはチームの一員という認識をさらに持とう。そういったことを新チームになるタイミングで話し合い、改めて一丸となって戦うことの大切さを共有できたと思っています。
ー最後に、マネージャーになりたい人へメッセージをお願いします。
少しでも興味があれば、どうすればそれができるかを考えたうえで、ぜひ行動に移してください。そこから先の世界が広がるかどうかは、みなさん次第です。僕は胸を張って、マネージャーになって良かったと断言できます。後悔のない選択をしてください。
そして、一人のマネージャーが仲間に呼びかけて巻き起こし始めた新風は、今後の大学アメフト界にどのような影響を与えるのか。変わりゆくであろう大学アメフトをさらに応援していきたいですね。東さん、ありがとうございました。
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