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「つくばみらい市にハンドボール熱を再び取り戻す」チームを立ち上げた監督の愛情あふれる指導

つくばみらいハンドボールクラブ

代表・監督:

佐藤博樹(さとう・ひろき)さん

茨城県つくば市出身。中学生の時にハンドボールをはじめ、卒業後は名門の県立藤代紫水高等学校に進学し、ハンドボール部に入部。社会人時代には国体3位や関東クラブ選手権2位という成績を残す。現在も現役プレーヤーとして活躍中。そして、昨年2023年8月につくばみらいハンドボールクラブを立ち上げ、監督として子どもたちの指導も行っている。

ひと目でわかる! チームの特色

  • 2023年8月に発足。今年から大会に参加
  • 子どもたちに考えさせる指導を行う
  • 誰もが楽しんでハンドボールを続けられる環境

茨城県の県南地域はハンドボールが盛んな地域として知られています。
パリ五輪のハンドボール日本代表には名門・藤代紫水高校ハンドボール部OBが2名選ばれました。
茨城県出身選手の世界の舞台での活躍により、さらにハンドボール熱は高まりつつあります。

ただ、旧伊奈町(現つくばみらい市)はハンドボールが盛んな地域の1つでしたが、徐々に競技人口が減っていき、中学のチームもなくなってしまいました。
そうした事態を受けて、昨年8月に「もう一度、町のハンドボールを盛り上げるために」という思いで作られたのが、つくばみらいハンドボールクラブです。

クラブ発足に対する思い、さらには今後のビジョンについて、代表の佐藤博樹さんに話を伺いました。

初心者と経験者、分け隔てなく練習

ークラブが発足したのはいつですか?

2023年の8月です。つくばみらい市は2006年に旧伊奈町と旧谷和原村が合併して誕生しました。なかでも、旧伊奈町はかつてハンドボールが盛んな地域だったんですよ。でも、徐々に衰退して、指導者もいなくなり、中学校のチームがなくなってしまったんです。

もう一度この地域でハンドボールを盛り上げたい、また、一人でも多くの子どもたちにハンドボールに触れてもらいたいと思いチームを作りました。

ー練習日や活動形態をお聞きしたいです。

週に1回、日曜日に約3時間練習をしています。初心者が多いですが、経験者と分け隔てることなく、練習を行っています。

活動形態は、スクールではなく、チームです。今年から茨城県ハンドボール協会に登録したので、大会にも出られるようになりました。発足当初は資金もなく、人数も少なかったので、大会に参加することを我慢せざるを得ませんでした。ですが活動開始から1年経って、やっと資金面と選手数の目途が多少ついたんです。

練習ばかりやっていても、試合がなければ面白くないと思うので、これからどんどん大会に出ようと思っています。

ただ、それは小学生のことで、中学生は部活があり、なかなか大会には出られないんです。27年度に運動部活が地域移行されるとのことなので、それまで動向を見ながら、今の小学生が中学生になった時に長く続けられるような環境を作っていけたらと考えています。

ー入部できる対象年齢も教えてください。

小学校1年生から入れます。男子も女子も一緒にプレーしています。

レベルに合った環境を作りたい

ー指導する際、どんなことに意識しているのでしょうか。指導方針もお願いします。

まずは、ハンドボールの楽しさを伝えるようにしています。小学生の時は最初にドッジボールをやらせたり、かけっこをやらせたり、いろいろなことにトライするチームが多いですが、うちはそういうことをあまりやりません。とにかくハンドボールをプレーしてもらうようにしています。

指導方針は、子どもたちが考えるようにすること。教えることは教えますけど、プレーするのは子どもたちなんです。教えることができても、考えることができないと先には行けないんですね。プレーの中で何が悪かったかを自分で考えて、そこに挑戦することを繰り返して成長していく。それを念頭に置いて指導しています。

ー守谷市や常総市など茨城県の県南地域はハンドボールが盛んな地域という印象があります。佐藤さんはどちら出身ですか?

つくば市茎崎です。当時は、その地域もハンドボールが盛んでした。私たちの頃は小学校のクラブがなかったので、中学生からハンドボールをはじめました。

ー県南が盛んな理由はあるのでしょうか。

熱心な指導者がいて、ハンドボールが楽しいということを多くの人に伝えてくれたからだと思うんです。ハンドボールは難しい競技ですが、競技人口が多くない分、初心者も入りやすいのかもしれません。サッカーや野球は競技人口が多くて、競技歴の長い人との差が出てしまいますからね。

ー藤代紫水高校のハンドボール部は全国有数の強豪校です。

藤代紫水高校は、全国のトップを目指して活動しているチーム。ハンドボールで頂点に立ちたいという思いを持った選手たちが集まってきています。茨城県のハンドボールにとってものすごく大きな存在ですね。

ただ、そうしたトップチームだけでなく、自分のレベルに合った形でハンドボールを続ける環境を作ることも大切だと思っています。

勝って楽しさを得た方がいい

ーパリ五輪の日本代表には藤代紫水高校出身の選手が2名選ばれていました。茨城県出身選手の活躍をハンドボール普及につなげたいですね。

当然、そういう思いは持っています。ただ、選手はどこで開花するかは分からないんです。成長の速度と時期は子どもによって、全然違うんですよ。指導している子の中から代表に選ばれるような選手が出てくれたら嬉しいですけど、そうではない子も楽しんでハンドボールを続けられるように指導していくことが大事だと考えています。

ー現段階のチームの目標を教えてください。

いろいろな考え方があると思いますが、私は勝って楽しさを得た方がいいと考えるタイプです。

人間には欲があるので、最初は楽しい気持ちではじめても、試合を重ねると勝ちたい気持ちが強くなってくる。私はレギュラーを決めずに全員を試合に出す方針です。その中で選手自身が自分のレベルを理解するようになってくる。そこから「今まで以上の努力をしないといけない」という意識を持つ子は上達します。

一方、そうではない子はうまくならず、つまらないと感じてしまう。だからこそ、全員で「勝とう」という意識を持って、そこに向けて努力するということが大切だと思うんです。それが新たなモチベーションにつながっていくといいなと思います。

ー続けるためにも、「勝ちたい」という気持ちが必要だと考えていらっしゃるのですね。

確かに「勝つことがすべてではない」とは思います。でも、勝つことを否定してしまったら、気持ちに甘えが出てしまうような気がします。

言葉の捉え方の問題だと思うんですよ。スポーツは絶対に勝敗は避けられない。だからこそ、勝つことを目指してプレーすることは当たり前だと思うんです。たとえば、受験も合格を目指して頑張るわけじゃないですか。そういうことも踏まえ考えてもらえるといいかなと思っています。

今回のインタビューで最も感じたのは、佐藤さんのハンドボールへの愛情。
そして、地域の子どもたちにハンドボールに触れてもらいたいという強い思いでした。
運動部活動の地域移行などもあり、今後子どもたちのスポーツの関わり合いが変わろうとしています。
その中で地域の大人たちが「環境」を作ってあげることが非常に重要な気がしました。
発足してわずか1年とスタートしたばかりのチームですが、今後茨城県のハンドボール界だけでなく、スポーツ界にどのような影響を与えるか、注目していきたいと思います。


つくばみらいハンドボールクラブ
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