W杯日本代表の活躍等で大人気のバスケットボールですが、なぜボールがオレンジや茶色なのでしょう。2024年度3×3女子日本代表チームのサポートコーチを務める伊集南さんにお聞きしました。
教えて、伊集 南さん!バスケットボールのヒミツあれこれ
▼ INDEX
#1 ボールのサイズや重さに決まりはある?
#2 NBAのボールは、特殊!?
#3 ボールの空気量も決められている
#4 バスケットボールがオレンジ系である理由
#1 ボールのサイズや重さに決まりはある?
―バスケのボールは何を使ってもいい、というわけではないのですか?
日本バスケットボール協会(JBA)は国際バスケットボール連盟(FIBA)のルールに則り、競技規則を毎年更新していて、公式球は規格化されています。
まず、サイズからお話ししましょう。実は、ボールの大きさは5号、6号、7号の3種類あるんです。それぞれに周囲、直径(目安)、重量の規定が設けられているんですね。ホールケーキと同じように号数とサイズ、それらに伴い重さは比例していて、5号が一番小さくて軽いものになっています。
ボールのサイズがなぜ3種類あるかというと、年齢に応じて使い分けられるようにしているからです。主に5号は小学生向け(ミニバス)、6号は中学生や女性向け、7号は高校生以上の男性向けとなっています。
公式試合は規定のボールを使いますが、なるべく早いうちからボールの大きさに慣れるために、育成段階でも男子は7号球、女子は6号球を使ったりする場合もあります。
参考:日本バスケットボール協会 バスケットボール競技規則 ミニバスケットボール競技規則
#2 NBAのボールは、特殊!?
また、イレギュラーなのがNBA(北アメリカの男子バスケットボールのプロリーグ)です。7号より少し小さい、6.5号球を使用しています。理由は、掴みやすくてダンクを決めやすいからと言われているよう(諸説あり)。Bリーグでもそうしたらいいのに、と思う人がいるかもしれませんが、使用されたことは一度もありません。
#3 ボールの空気量も決められている
ーすごく硬いですよね。
外面を皮革、合成物質あるいはゴムで覆った球形のものと定めています。また、グリップ力を高めて滑らないようボツボツとした加工を施していることも、硬いと感じる理由のひとつかもしれません。
加えて、ちょっとユニークかもしれませんが、ボールの空気量も決まりを設けています。
FIBAの基準では、ボールを180cmの高さからコートに落としたとき、床から120cm〜140cmの間にボールが弾み上がるように空気量を調節しなければなりません。これは、空気を多く入れると弾みすぎるし、逆に空気が少ないと扱いにくい弾みになるからです。120cm〜140cmの間が、適切な弾み方ということですね。
#4 バスケットボールがオレンジ系である理由
―色はどうなのでしょうか。オレンジや茶色のイメージがあります。
そうですね、オレンジ系と定められていて、Bリーグでもそのような色のボールが公式球として使用されています。理由は、わかりやすく目立つため、ではないんですね。ボールを最初に作った人、または作るよう指示をした人が好きな色だった、でもありません。
実は、オレンジ系になったのは、たまたまだったと言われています。バスケットボールが生まれたのは、1894年頃のアメリカと推測されています。当時は、牛の皮が用いられていたそうで、加工する際に植物由来の水溶性化合物の総称、タンニンが使われていたようです。
タンニンは、皮を柔らかくする効果を持つのですが、それにより牛皮がオレンジ系(茶色)に変色し、さまざまな事情を鑑みてその風合いを生かしたとのこと。現在、タンニンは使用されていませんが、オレンジ系の色はコストパフォーマンスが良い、汚れが目立ちにくい等もあり、そのまま採用されています。
これは公式球に該当する規定であり、単純に体を動かしたり、楽しむ目的でバスケットボールをする際は、色に決まりはありません。現に、スポーツショップやサイトでは、さまざまな色のボールが販売されています。
―バスケットボールの色のヒミツがよくわかりました。ありがとうございました!
教えて伊集さん!バスケットボール特集
監修:伊集南(いじゅ・みなみ)さん
沖縄県出身。NBAに魅了されて中学からバスケをはじめ、糸満高等学校卒業後、筑波大学ではインカレ優勝、ユニバーシアード日本代表にも選出。卒業後はデンソーで活躍、3x3日本代表に選出。引退後は同社に嘱託社員として在籍しながら2024年度3×3女子日本代表チームのサポートコーチに就任。ほか、3x3代表部会、3x3委員会に所属、Wリーグの理事も兼務。