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「何事にも “AFFECTION(愛情)” を」元ファジ・福森慎太郎の運営するシニアチームとは

AFFECTION 40

代表・プレーヤー:

福森慎太郎(ふくもり・しんたろう)さん

ファジアーノ岡山の2期生として、プロ化前のチームでプレー。幼少期から少年団や部活動でプレーし、大学では桐蔭横浜大学サッカー部の1期生として風間八宏さんから指導を受け、県選抜や県大学ベストイレブンに選出。大学卒業後、三菱自動車水島FCに選手として所属しながら、母校・作陽学園高等学校と岡山湯郷Belleでコーチを務める。ファジアーノでの選手時代を経て、R.K.クラシックで県リーグ優勝と県ベストイレブンを掴んだ。40歳でAFFECTION 40を立ち上げ、現在Jrチームやスクールなども運営中。岡山県マスターズ選抜監督。

ひと目でわかる! チームの特色

  • サッカーを通して生活を豊かに
  • 自主性を重んじるチーム作り
  • 年齢にとらわれずサッカーを続けられる柔軟な環境

岡山県早島町や岡山市を中心に、40歳以上のメンバーが所属するシニアチーム AFFECTION 40(アフェクション フォーティ)。岡山シニアサッカーリーグ(40リーグ)の1部に所属し、仕事や家庭と両立させながら楽しくサッカーを続けています。

今回は、チームの発起人であり代表、そしてプレーヤーとしても活動している福森さんに、基本的な情報やシニアリーグでプレーする魅力、目標などをお伺いしました。

きっかけは「親友との約束」

― まずは、主に40代以上の選手を中心としたシニア年代のチーム「AFFECTION 40」を立ち上げたきっかけについて教えてください。

親友との約束を果たすために、僕が40歳になるときに立ち上げました。どうしてもその友人とサッカーがやりたくて、彼と一緒にサッカーをするために、40歳になったらチームを作ろうと決めていたんです。それに加えて、同級生と話していても「そろそろシニアのチームでやりたいよね」という話が出てきていたので、39歳のころから動き始めて、2020年に発足した形です。

ー 現在は岡山シニアサッカーリーグの1部に所属されているとのことですが、発足時からすぐ参入されたのでしょうか。

チームを作った初年度からリーグ自体には参加していました。最初は県シニアリーグの2部から始めさせてもらって、1年で1部に上がって今年で4年目です。今は1部で真ん中くらいの順位をキープしています。

楽しさを最優先に! チームの理念は「愛情をもって向き合うこと」

ー チームの特色を教えてください。

一番はサッカーを楽しむことに重きを置いているという点です。僕自身もそうなのですが、ちょっと変わったことをしたい人が集まっていて、新しいものを作りたいという気持ちがあります。

昔からの慣習や、他のチームがやっていることと同じことをしていても面白くないと思っているので、自分たちが楽しくできることを第一に動いているという感じですね。

チームミーティングはしないですし、チーム内で守るべき決まりごともありません。代表である自分の方針を押し付けているように見えるかもしれないですが、チームのメンバーそれぞれが、どうしたらいいサッカーができるか、楽しくするためにどうしていくかを考えることで、チームが成り立っています。

ー 例えば、どんな部分にその特色が出ていますか。

同じリーグを見ていても、僕たちしかやっていないことがあるのかなと思います。例えば、試合の日の集合時間は、他のチームと比べてかなり早いですし、ウォーミングアップをするときには必ず音楽をかけます。また、シニアのチームだとほとんどいないんですが、アップを必ず時間通りに開始します。

僕は、これらはある意味“愛情”だと思っています。楽しくやるためには、体のためであったり仲間のためであったりと、いろんな面に対して愛情を持つことが必要なんですよね。各々が愛情を持つことで、結果的に楽しくやっているように見えていますし、僕たち自身楽しんでやれているのかなと思います。ここで愛情という意味を持つチーム名「AFFECTION」につながってくるんです。

僕たちはこのチーム名を合言葉にしていて、試合が始まる時や、 何か問題が起きそうな時、 「AFFECTIONを持って、頑張ろう!」とお互いに声をかけます。サッカーは、メンバーを想い合わないとうまくいかない。相手に注ぐあたたかな心を持ってすれば、一人じゃできないことも成し遂げられると思うんです。

ー 愛情を持つことで、新しいものを取り入れる時のハードルが下がったり、その結果みなさんが楽しくできたりということにつながっているんですね。

はい。試合で対戦するチームの選手たちからも、「お前いいよな、楽しそうだよな」「変わってるよな」とよく言われますが、それが一番いいことだと思っています。そのような言葉をかけてきた相手に、「じゃあ、あなた達もやったらいいじゃないですか」と言っても、なかなかやらないんですよね。どうしても自己都合を優先したりで、すぐには変えないんです。

僕らのやり方からすれば、それはサッカーにちゃんと向き合ってない感じがしてしまうんですよね。もちろん、伝統を大切にすることや他のチームなりの決まりがあることは素敵なことだとは思いますが、「もうちょっと向き合ったらいいじゃん」とか、「チームがみんな笑顔で楽しくできるようにするにはどうしたらいいかなと考えればいいじゃん」という風に思っている部分はあります。

ー ありがとうございます。言葉を交わす場面についてお話しいただきましたが、試合外で他のチームとの関わりはありますか。

もちろんありますし、今増やしているところです。僕たちがどれだけ楽しくやりたいと思っていても、試合が始まってしまえばピッチは戦う場所になるので、いざこざが1つもないと言えば嘘になります。

ただ、それをちょっとでも減らすために、懇親会をしたり、練習試合を組んだり、助っ人として相手チームの試合に入ったりという部分で、他チームとの交流を増やしています。

地道な活動ではありますが、ファウルや審判に文句を言う人が減っているように、実際変わっていっているんですよね。試合の時は敵でも、普段はサッカー仲間として仲良くやっているという関係性が理想です。

柔軟な練習スタイルに、体のケア。年齢にとらわれずサッカーを続けられる環境とは

写真提供 : AFFECTION 40


 
ー 40歳以上のメンバーとやっていく中で、みなさんそれぞれ仕事や家庭などがあると思いますが、練習の頻度や時間はどのようにされていますか。

おっしゃられているように、仕事や家庭がそれぞれあるので、決まった練習日は特に作っていません。僕個人の事業として、こどもたちの指導もしているので、平日はほぼ毎日練習場を借りています。

なので、その中で来られる人が来ることができる時に来て、みんなでサッカーをして、自分たちの思うようなプレーをするという感じです。もちろん、細かい部分でお互いに声をかけあって教えあったり、自分も教えたりしますが、決まった戦術のトレーニングのようなことはやっていないです。

ー みなさんそれぞれの生活がある中で、チームをやっていく上での大変な部分を挙げるとすればどんなところですか。

何よりも、メンバーが集まらないのが一番大変ですね。試合は11人いないとそもそも成立しませんが、必ずしも揃うというわけではないので、出られるメンバーでやりくりしなければいけないというところに難しさはあります。

加えて、ある程度体が弱ってくる年代なので、若いころと比べて怪我のリスクも高いですし、より体と向き合う必要があるのかなと思います。ただ、必然的に気にかけるので、これ自体はいいことですね。

ー このチームに在籍されている方はどんな方が多いのでしょうか。

今メンバーは20人くらいで、基本的に同級生が多いです。僕はもちろん、メンバーのそれぞれが誘って新しい人が入ったりして、一緒にボールを蹴る仲間たちがどんどん増えています。元プロ選手や経歴のある人がいるのではなく、岡山という場所で地道にサッカーをしていた仲間たちがほとんどです。この年代になっても続けたい人たちが集まっています。

ー シニアチームである上の年齢の縛りや、チームの考え方の理解という面以外では、特に入るメンバーに制限は設けていないということですね。

そうなりますね。もし新しく入りたい人がいたとしたら、自分たちがどう思ってやっているか、どんな考え方でプレーしているかっていう部分に共感してくれていればいいかなと思います。ただ、やっぱり一番は楽しくやれる人ですね。

サッカーをすることで生活が潤い、つながりが生まれる

ー 福森さんは、プレーヤーと指導者の二足の草鞋としての活動はもちろん、子どもから同年代の方まで幅広い世代を教えていらっしゃいます。指導される相手や状況において、変えている部分や心がけていることがあれば教えてください。

根本的にサッカーそのものが大好きで、教えることも好きということもあって、指導の仕方において意識して変えている部分はないです。

僕自身、プレーすることがものすごく好きですし、子どもであれ大人であれ、対象がどんな人であっても、みんなとサッカーをやりたいという思いがあります。

そのために教えているという部分もありますし、ただ誰かのために何かをすることが本当に好きなんだと思います。好きなことをただ好きなだけやっているだけで、そのツールがたまたまサッカーだったという認識です。

一生涯サッカーと触れ合える場所・空間の構築をしたいと考えていて、 サッカーをやりたいと思ったときにやることができる「場」と「仲間」を作るサポートができればと思っています。

ー 40歳を過ぎてもプレーされている方々がたくさんいらっしゃる中で、シニアリーグでやっていくことの良さや意味についてどうお考えですか。

やっぱり一番は生活が潤うというところだと思います。健康面もそうだし、精神的な面もです。サッカーを続けるために健康を心掛けるとか、仕事でモヤモヤすることがあっても、仲間と一緒にサッカーすることで発散できるとか、そういう部分で生活が豊かになっていると思います。

健康に気をつけてお酒を飲む回数を減らしたり、食生活に気を配って体重を減らしたりと日々の生活を変えた人もたくさんいるんです。「AFFECTIONがあるから」日々の生活や自分の心も体も潤うというのは、僕らの目指すところですし、とても嬉しいことだと思っています。

ー 最後に、今後の目標を教えてください。

まず、個人としては、サッカーをずっと続けていくことが目標です。“目指せ、生涯現役”ですね。サッカーが大好きなので、さまざまな人とサッカーをしていたいという思いがあります。

また、サッカーを介して交流していくことで、人間を知ることができると思っているんです。1人1人考えもやり方も違うし、そうやったらこうなるんだという学びがどんどん増えていくのが楽しくてやっています。

運営しているスクールやクラブチームの事業もそうですが、学びながらずっとサッカーに関わっていけたらいいなと思っています。

また、AFFECTIONというチームについては、これからどんどん規模を拡大していけたらと考えています。今年4月からJr.チーム(U‐9)を立ち上げたのですが、カテゴリーをもっと増やそうと思っていて、50歳以上のチームやユース、女子、社会人と広げていく予定です。

今現在、シニアチームのメンバーでJr.チームの指導者をしている人もいるのですが、このチームが組織としてどんどん人を育てていくことができる場所にしていきたいんですよね。

スポンサーの企業さんと交流をしたり、Jr.チームでは農業をしたりといろんなことを始めています。いろんな人が増えてつながりが拡大していって、結果的にみんなが幸せを感じられる場所になったらいいなと思っています。極論、このチームにいることで平和に過ごすことができれば、それが一番いいなと考えていて。

大きなことを言っているように聞こえるかもしれませんが、楽しく暮らせるようになるのって、サッカー1つでも変えることができるんじゃないかなと思うんです。

自分の周りの環境でも、1人でも多く、サッカーやこのチームを通して、笑顔になってくれたり、争いごとがあっても忘れる時間を持つことができたらいいなと思います。

取材の最中にも、「楽しく」という部分が伝わってくるようなみなさんの姿が見受けられました。チーム名に込められた「愛情」という言葉が象徴するように、メンバーそれぞれが支え合い、楽しんでサッカーを続ける姿勢が非常に印象的でした。AFFECTIONという組織が、これからどう広がっていくのか楽しみですね。貴重なお話をありがとうございました。


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