「言葉の魔法」で日本代表へ選手を送り込む ビーチサッカー・ドルソーレYUKUHASHI マイケル社長の熱血指導
ドルソーレYUKUHASHI
代表兼選手:
マイケル(岡本英雄 おかもと・ひでお)さん
3歳からサッカーを始め、サッカーの名門・東福岡高等学校に進学。その後、東海大学に進み、25歳までサッカーを続けた。18歳の時にビーチサッカーと出会い、25歳で転向。28歳の時にビーチサッカーチーム「ドルソーレ北九州」を設立した。現在はチーム運営の傍ら、法人や学校での講演活動も精力的に行い、自らの経験を多くの人に伝えることにも力を注いでいる。本名は岡本英雄だが、日本人離れした甘いマスクから「マイケル」と呼ばれ親しまれている。
ひと目でわかる! チームの特色
- 「言葉の魔法」で練習の熱量を維持する独自指導
- 100社近いスポンサーで選手の就職支援
- 整骨院提携など充実の練習環境
ビーチサッカーチーム「ドルソーレYUKUHASHI」。日本代表選手を多数輩出し、地域活性化にも貢献する注目のチームです。チームの創設者であるマイケル社長に、独自の選手育成法や「言葉の魔法」を使った指導術、そして砂浜から地域貢献を目指す未来像をうかがいました。
ビーチサッカーに魅力を感じてチーム設立
ーマイケル社長の経歴を教えてください。
東福岡高校から東海大学に進学し、25歳までサッカーを続けました。18歳のときに福岡の津屋崎ビーチでビーチサッカーと出会い、25歳で完全に転向。そして28歳でドルソーレYUKUHASHIの前身となるビーチサッカーチーム・ドルソーレ北九州を立ち上げました。
ービーチサッカーのどこに魅力を感じましたか?
ビーチサッカーとは、砂の上で裸足で行うサッカーです。サッカーのピッチの約7分の1の大きさの37m×28mのピッチで、1チーム5名、12分間×3ピリオドで試合が行われます。深さ40センチの砂の上でプレーするので、ボールを浮かせる足技が多く、オーバーヘッドキックなどのダイナミックなプレーが見どころのひとつです。
狭いピッチを観客が取り囲み、熱い声援を送る様子は、国内のスポーツではあまり見られないもので、初めて観戦したときに選手たちのボルテージが上がっていく姿に心を動かされました。また実際にプレーをしてみて、砂にまみれる感覚も格別でした。ビーチサッカーの魅力は本当に多面的です。
ービーチサッカーチームを立ち上げたきっかけをお聞かせください。
さまざまなチームを見てきましたが、「このチームでならプレーできそうだ」と思えるところがありませんでした。「自分がチームのトップならこうするのに」という思いが強くなり、26歳のときに選手を集めてサークルレベルのチームを立ち上げました。
ードルソーレYUKUHASHIのこれまでの実績を教えてください。
2015年に国内大会を初制覇し、翌年には女子チームも立ち上げました。2019年には女子が全国大会で優勝。2022年には男子が全国4位に入賞し、得点王も輩出しました。2024年は女子が準優勝で、2選手が得点王に輝きました。現在、男子が日本代表候補に1人、女子が日本選抜チームに3人選ばれています。
地域に愛されるチーム作りを目指す
ーチーム運営で苦労されていることはありますか?
主に二つの課題があります。一つ目は地域との関係です。ビーチサッカーによる賑わいを望む声と、静かな環境を保ちたい地域住民の声のバランスを取ることが難しいです。地域説明会を開いたり、将来の計画を説明したりしていますが、駐車場の問題など、施設面での課題もあります。
二つ目は選手の確保です。良い選手を育てても、関東の強豪チームに移ってしまうことがあります。新しい選手を育てるには3年ほどかかるので、チーム力を維持するのが大変です。
ースポンサー獲得についてはいかがですか?
スポンサー獲得も簡単ではありません。大会で優勝しても、それだけでは企業にとってのメリットが見えにくいので、地域に愛されるチーム作りを通じて価値を生み出す方法を考えました。
具体的には、10年前から学童クラブでの活動や学校での出前授業を行い、地域とのつながりを深めています。子どもたちに喜んでもらえれば、親世代の支持も得られると考えています。
厳しい練習でも楽しく取り組めるようポジティブな言葉をかける
ー選手の育成や指導方針について教えてください。
「言葉に魔法をかける」と「練習の熱量を維持する」の二点を重視しています。
例えば、雨天時の練習の前には、「試合に雨は関係ないよね。雨にも負けず、風にも負けず練習やるぞ!」と声をかけることで、練習時の熱量を高めています。
監督として厳しい練習を課したいという思いはありますが、それだけでは選手を疲弊させてしまう恐れがあります。そこで、ポジティブな言葉かけを心がけ、厳しい練習でも選手たちが楽しく取り組めるよう工夫しています。同時に、徐々に練習のペースを上げていくことで、選手の成長を促しています。
ー練習ではどのような工夫をしていますか?
練習では選手が飽きないよう工夫しています。各選手の特性に合わせたトレーニング法を採用し、長距離走と短距離走のどちらが得意かなどを見極めながら、最適なポジションを考えています。選手との対話も重視しており、「フォワードが向いているのではないか」といった具体的な提案も行っています。
技術面では、ビーチサッカーの日本代表レベルを目指した指導を行っています。ボールの回転やパスの質、高さ、ボールを持った際の状況判断など、細部にわたる指導を徹底しています。
ー選手との接し方で意識していることはありますか?
選手個々の背景を理解することを重視しています。選手との食事の機会を多く設け、家族関係などプライベートな面も含めて理解を深めるよう努めています。また、選手の保護者とも三者面談を行うなど、多角的なコミュニケーションを心がけています。
充実した練習環境と多様な勤務先を提供
ーチームの特徴や魅力について教えてください。
まず、毎日の練習環境が整っているのが大きな特徴です。筋力トレーニング設備も完備しており、選手は無料で利用できます。整骨院との提携により、選手が日々のケアを受けられる体制を整えています。
選手の仕事先候補を複数用意できるのも特徴です。約100社のスポンサーや協力企業があり、選手の仕事先として多様な選択肢を提供しています。3社程度の面接を設定し、できる限りミスマッチを防ぐよう努めています。
ービーチサッカー以外のスキル向上にも取り組んでいるそうですね。
選手の総合的な成長を目指しています。月に1回程度、メンタル面の強化を目的としたセミナーやチームミーティングを開催しています。これらの取り組みは、ビーチサッカーの技術向上だけでなく、人間的成長を促す場としても機能しており、いわば「大人の学校」のような役割を果たしています。
さらに、地域との連携を深める取り組みも計画中です。YouTubeを活用し、チームの本拠地である行橋市や隣接している北九州市の魅力を発信する地域チャンネルの制作を検討しています。選手がタレントとして出演することで、彼らの表現力や発信力を高め、選手としての付加価値向上にもつながると考えています。
ーチームの現在の規模と構成について教えてください。
現在、男子選手が10名、女子選手が7名在籍しています。スタッフは4~5名です。選手の8割程度は、スポンサー企業で「アスリート社員」として勤務しているか、当社で働いています。アスリート社員とは、競技活動と仕事を両立できるよう、柔軟な勤務体制が整えられた雇用形態のことです。練習は夜7時からなので、選手たちは5時半に仕事を終えられるよう調整しています。
求む! 情熱的な選手
ー選手の入団プロセスはどのようになっていますか?
入団経路は様々です。知人の紹介やSNSのダイレクトメッセージ、電話での問い合わせなどがあります。最も多いのは、現役選手や私の知り合いからの紹介です。「ビーチサッカーに転向したい選手がいるのですが、練習生として受け入れていただけますか」といった問い合わせが特に多いです。
基本的には、全ての問い合わせに対応し、面談の機会を設けています。
ーどのような選手に入団してほしいですか?
熱意のある選手を求めています。ビーチサッカーで有名になりたい、心技体ともに優れた選手になりたい、人々に愛される選手になりたい、日本代表として活躍したいなど、強い思いを持った選手を歓迎します。ビーチサッカーを通じて世界に影響を与えたい、新しい刺激を求めている、高い承認欲求を持っているなど、情熱的な選手を心からお待ちしています。
ドルソーレYUKUHASHIは、地域との交流が多いのが特徴です。地域の方々と直接触れ合い、チームの活動拠点である、行橋市の長井浜ビーチでの応援を受けることで、選手たちは大きな達成感を感じることができます。
行橋市をビーチサッカー選手が多く集まる街に
ー今後のチームの展望についてお聞かせください。
私たちの目標は、行橋市をビーチサッカー選手が多く集まる街にすることです。スポーツビジネスとして発展させ、多くの選手を引き寄せ、育成し、スポンサー企業とも連携していきたいと考えています。選手たちのファンを増やすことで、地域の人口流入にもつながりますし、新たなファンの獲得や経済効果も期待でき、街全体の活性化につながると信じています。
長期的には、ビーチサッカーを地域の文化として根付かせ、30年、50年と続く持続可能なチーム作りを目指しています。いつか私以外の誰かがこのチームを引き継ぎ、さらに発展させていけるような基盤を作りたいと思っています。
競技面では、日本一を目指すことはもちろん、ビーチサッカー日本代表選手を輩出し続けることが目標です。日本代表クラスの選手を育成し、他チームに移籍することで将来的に移籍金などが発生すれば、それを活用して新たな人材を獲得するという好循環を作り出したいと考えています。
また、日本代表選手を継続的に輩出することで、メディアの注目も集め、地域により一層の活気をもたらすことができると考えています。人口7万3000人の比較的小さな町からでも、世界と戦える選手を育てられるという夢と希望を示し続けたいと思います。
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