G-FIVE ミルスターズ (ジーファイブ ミルスターズ)
監督:
青木陽子(あおき・ようこ)さん
東京都大田区山王生まれ。小学生の頃にバスケと出会い、中学では都大会ベスト16、東京都選抜韓国遠征も経験。高校は東亜学園高等学校へ進学、インターハイ、ウィンターカップ出場。卒業後は大日本印刷(株)に所属し活躍。引退後は日本バスケットボール協会D級指導者、アロマ、リフレクソロジー、健康管理士一般指導員等、多数の資格を取得。2017年に同チームを設立。
ひと目でわかる! チームの特色
- 個人レベルに合わせた指導
- 自分を俯瞰できる広い視野を持てる
- やる気より“その気”を尊重
三男のオムツが取れた頃にチームを作りました
ジュニアバスケットクラブチームの激戦地域・大田区における強豪チームの一つ、G-FIVEミルスターズ。監督の青木陽子さんは、ご自身も同エリアのミニバスクラブ出身です。中学では東京都選抜に選出、高校でも全国大会出場を果たし、卒業後は実業団に所属する等、選手としても活躍されました。
現在、フルタイム勤務で3人のお子さんを育てながら、監督として週4回指導をされている青木さんに、チームの特徴や魅力、そしてご自身の原動力のヒミツ等を伺いました。
ー 1番下のお子さんがまだ3歳の時に、G-FIVEミルスターズを設立されたそうですね。一体どんな経緯があったのでしょうか。
今から7年前に創設しました。きっかけは、長男です。少し内向的だったので何か運動をしてほしいと思ったんですね。自分が小学生の頃に所属していたミニバスのクラブなら馴染めるかなと入部を検討しましたが、既になくなっていたんです。
長男の性格上、親子共々全く知らないところに入るのは無理だろうと思いまして、だったら自分がチームを作ろうと考えました。
三男のおむつが取れたら本格的に動こうと思い、当時のミニバス仲間の後押しや協力もあって、三男が3歳の頃に無事立ち上げることができました。そこから順調に軌道に乗り、現在まで続けられています。
カテゴリーは年代別に2つあり、U-12の他、運動部活動地域移行(※)に伴い、U-15を2022年に創立しました。U-12は小学1年生から6年生まで男女計40人、U-15は中学生計15人程で活動しています。
U-15はその年齢に達したU-12の子が行く流れが多く、新規も経験者のお子さんのみ受け付けています。もちろん、U-12は初心者、未経験者大歓迎です。
「バスケが好き」子どもたちの気持ちを大切にしたい
ー小学高学年の練習を拝見したところ、みなさん明るい表情で、楽しみながらプレーしている印象を受けました。実際の雰囲気や特徴はいかがですか。
みんな優しい子が多く、のびのびと練習をしています。これは私の指導方針でもありますが、バスケが好き、プレーをするのが楽しいという気持ちを維持してもらうことが大事だと考えています。
但し、全体的に緩いのかと言えばそうではありません。引き締めるべき時は、円陣を組んで喝を入れる等をして、ピリリとした空気感を作るようにしています。
昔のように厳しく圧をかけて強制的に練習をさせるようなことはしたくないんですね。なので、その子ができることを、本人が納得できるまで説明をして、そこから練習をしてもらいます。腹にしっかり落とし込むことで動き方やテクニックが身につき、成長できると思うんですね。
習得するまでに時間は少しかかりますが、一人ひとりのプレーや試合の勝敗を見ても、成果は現れていると思います。
自分の役割を俯瞰して考えるとチームは強くなる
ーこれまで城南カップ優勝をはじめ、他大会でも順位を上げる等、着実にチーム全体がレベルアップをされている印象です。強さにつながる練習方法を教えてください。
チームとしてまだまだ向上しないといけませんが、「自分の役割を俯瞰で考えること」を意識してもらうようにしています。
相手チームも含めてコートに10人いる中で、自分はどう動けばいいのか。練習では枠組みから話し、自分の役割とは何かを考えてもらいます。その時に大事なのは、自分目線でプレーしないこと。なぜなら、視野が狭くなり全体を見渡すことができないからです。全体を把握するために、「映像で自分を見るような感覚で動くように」と伝えています。
日頃からそのことを意識しているので、試合では一人ひとりが自分のすべき仕事をわかったうえでのプレーができていると思います。断トツに強いとはまだ言えませんが、「うちのチームは弱くない」と断言できるまでに伸びた理由は、そこなのかなと思います。
また、バスケのプレーだけでなく、体作りにも力を入れています。練習の前半にスポーツリズムトレーニングやラダー、コーディネーショントレーニングを行い、体力アップや体幹を鍛えるようにしています。
実は、指導を始めた当初は勝利に対してこだわりはさほどありませんでした。バスケが好き、楽しいという気持ちを持ち続けてくれればいいと思っていたんです。でも、2年前のある大会で子どもたちの気持ちがわかり、私の意識が変わったのです。
ー何があったのか、具体的に教えてください。
ベスト8進出のかかった試合で負けてしまったんですね。内容はすごく良かったのに、僅か1点差で敗れたんです。当時の私は何とも思わなかったのですが、子どもたちがみな号泣していて。
私はすごく驚いて、同時にこんな辛い思いをさせてしまったことに責任を感じ、これを機に勝つことを意識し始めました。スイッチが入った瞬間だったと思います。
もちろん、周りが見えなくなるほど勝利に執着するのはもっての外ですが、良いバスケをしたうえで、次に目指すものという認識になりました。
そこから、いろいろな意味で見方が変わりましたね。勝つための戦略を立てるには、チーム力を高めなければならない。それには個の強化が必要と考え、選手一人ひとりの伸びしろにより着目するようになりました。そのうえで先述したようにチームでのそれぞれの役割を明確化しました。
他にも、自分が全国大会に出場した時のことを思い出して、プレーヤー目線になってみたり、Bリーグ等のバスケ観戦では、自分のチームに置き換えて観るようになったり。さまざまな変化が起きた結果、その年はいい成績を残すことができました。
ー選手として素晴らしい実績をお持ちですが、指導は未経験で始められました。指導法は、どのように確立されましたか。
実業団バスケを引退後に得たさまざまな経験が、コーチングに全て活きています。資格を取ってリフレクソロジーのセラピストをしたり、七田式の幼児教育講師をしたり、ジムの営業やインストラクターもしたり。いろいろな仕事に挑戦したんですね。結果的に今の指導者という立場が集大成となりました(笑)。
とくにジムのインストラクターは、先述した指導方針に役立ちました。初めてのお客様にいきなり難しいトレーニングを提案したところで、それが効果的だったとしても、お客様の多くはついてきてくれませんよね。子ども達に対しても同じことが言えます。ですから、自分ができることから始めてもらう、という方針を取っています。
加えて、私は社会人のバスケチームに所属していて、プレーヤーとしても活動しています。ですから、指導者はコートの外からの景色しか見えませんが、自分の練習時にコートの中での気づきも得るようにしています。その点は現在進行形で、今に活かすことができています。
また、営業や店舗立ち上げもしていたので、チーム設立当初のSNS運用にも経験を活かすことができました。もともとSNSが好きだったこともありますが、SNSで積極的にメンバー募集を行ったのです。公式HPを作成するよりも、こまめにSNSを発信し続けた方が成果が出やすいとわかっていたのでその手法を迷わず選択しました。当初はFacebook、アメブロで反応してくださる方が多かったですね。
疲れたら筋トレ。それにも勝る原動力とは…
ーバスケ、仕事、指導、全てにおいて「精力的」という言葉がぴったり当てはまる青木さんですが、一体どのような生活をされているのでしょうか。しんどさは感じないのですか?
よく、生活を見てみたいと言われます(笑)。家事に休みはなく、平日は仕事ですね。これに週4回の指導、週3回のジム通いが加わり、週1回は自分の所属チームの練習に参加しています。スポーツ少年団やスポーツ協会のチーム代表者会議や定例会も月1、2回あります。時間が取れるのは朝くらいなので、家族の食事は朝にまとめて作っています。
土日は試合が入れば、ほぼ丸1日家を空けることになるので、朝にお弁当、夕食までを10品くらい用意することもあります。惣菜は自分があまり好きではなく、デリバリーも利用したことがありません。家族には自分が作ったものを食べてもらいたいんですよね。
となると、完全オフは週1回、平日の夜に取れるかなという感じです。
基本的に楽しいから続けられていますが、土日に大量の食事を作っている時は、試合の戦略も立てなければいけなくて、もう頭の中はパンパンですよ。いっそ食事作りがなかったらいいのにな、と思うこともあります(笑)。
それでも、自分でやると決めたので、何かをやめるということは考えたことがありません。
ー青木さんの原動力とは何でしょうか。
なんといっても「教えることが好き」であること。そして、子どもたちが自分なりにやり方を見つけた時の「わかった!」、そこからの「できた!」といった瞬間の顔を見ることですね。みんなパッと明るい表情になり、瞳がキラキラと輝くのです。指導をしてきて本当によかったと思えます。この2つが私のモチベーションになっています。
あとは、筋トレを欠かさないことでしょうか(笑)。疲れると横になって休むことはたまにありますが、睡眠で疲労回復という発想は私にはないですね。まず、ジムへ行きます。インストラクターをしていたので、肩こりなどの不調に対応するメンテナンス法は熟知しています。ですので、トレーニングで体調を維持しています。
ーアグレッシブにご指導を続けられる理由がわかりました。これまで7年間、たくさんのお子さんたちを見てこられて、何か思うことはありますか。
ここ数年で、より熱心に取り組む子が多くなったと感じます。バスケットゴールが設置されている場所が近くにあるのですが、練習とは別にそこへ行ってシュート練習をしている子が増えました。
それは、一流選手のプレーを目にする機会が多くなったからだと思います。W杯での躍進や、東京オリンピックでの銀メダル獲得など。日本代表選手の方々の活躍から、テレビ等の露出が増えたために、憧れやなりたい対象が具体的に定まったからではないか、と思います。
河村勇輝選手になりたい! メダルを獲った女子選手のようになりたい! 目標が明確になると、自然と上達しますよね。きっかけは本当に些細なことなんだと思います。
これを私は「その気」と表現しています。やる気より断然、「その気」を重視するべきだと思うんですね。
だって、「やる気を起こす」ためにはエネルギーがそれなりに必要じゃないですか。でも、「その気」は今お話ししたようにちょっとしたきっかけで簡単になれるんですよ。うちの長男も、NBAを見てから練習を一切休まなくなりました(笑)。
ー最後に、どんなお子さんに入ってほしいでしょうか。
G-FIVEミルスターズのU-12は誰でも入部できます。例え今はやる気がそんなになくても、その気があればいいのです。あとは、素直な心を忘れずに持ってきてください。素直さは、成長や上達への大きな味方になってくれます。
また、バスケのプレー技術や体作りだけでなく、仲間との出会いも大きな糧になると思います。現に、私がこのチームを立ち上げることができたのも、ミニバス時代に知り合った友人たちのおかげです。一生の宝になり得る絆がここで生まれるかもしれません。
私たちと一緒に、楽しみながらバスケットボールの高みを目指しましょう。
※運動部活動の地域移行について(スポーツ庁)
https://www.mext.go.jp/content/20220727-mxt_kyoiku02-000023590_2-1.pdf
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