今回登場いただくのは、枚方スイミングスクールの選手コースに所属する5名の選手の皆さんです。枚方スイミングスクールは、オリンピックのメダリストを輩出した実績を持つ名門スクールながら、和気あいあいとした雰囲気の良さが大きな魅力の一つ。日本代表を目指す若き選手たちに、練習やチーム、コーチなどに対する本音を語っていただきました。お互いを高め合う意外な習慣もご紹介します。
水泳を始めたきっかけ、みんなの共通点は…?
―競技を始めたきっかけを教えて下さい。
梶本(一) 母親がマタニティスイミングをやっていて、その流れからベビースイミングを始めたので、記憶のない頃から水泳が身近にありました。小学校に上がるタイミングでコーチから声をかけてもらい、選手コースの一つ前の段階となる育成コースに挑戦してみようと思い進みました。
藤本 父親が水泳のコーチをしていたことから、2歳で始めました。当時の記憶はないですが、水泳帽を嫌がり、私だけ被っていない集合写真があります(笑)。私もコーチから育成コースに誘われましたが、育成という意味がわからないまま入りました。いざ入ってみたら練習がしんどくてついていくのが精一杯でした。
福島 姉がやっていたのを見て、私も3歳ぐらいから通い始めました。ですが、幼稚園の年中くらいまでは、行くのが嫌で毎日のように泣いていたらしいです(笑)。
―みなさん、ご家族の方の影響で始められたんですね。水泳のどんなところが好きですか?
梶本(一) 水泳を通して交流が増え、普段とは異なる世界を見られることが楽しくて頑張っています。昨年のFISUワールドユニバーシティゲームズ(学生を対象とした国際大会)で初めて日本代表に選ばれて合宿に参加したのですが、名前しか知らなかった選手たちと徐々に打ち解けることができました。そこから別の試合で会ってお喋りしたり、称え合えたりするようになれたのが嬉しいですね。
代表になれたことで泳ぐことがさらに楽しくなりました。日本代表のジャージを着ることも嬉しかったので、また代表になりたいという意欲が湧きました。
藤本 私はベストを出した瞬間が練習をやっていて良かったなと思います。また、海外遠征先で違う国の選手と戦うことも楽しいです。
昨年初遠征でハワイに行きました。国内の大会とは雰囲気が異なり、緊張というより楽しいという記憶しかないですね。
奥園 私もタイムが良かったり、大会で友達ができたりすることです。練習中も手応えや成長を感じられた時はすごく楽しいと思います。
梶本(幸) 全国の大会に出られることです。姉(梶本一花さん)は日本代表選手として世界大会やオリンピックを狙っていて、今の私と比べると異次元だなと感じています。でもいつかは追いつきたいです!
福島 みんながいるから楽しいと思います。一緒に頑張っているからこそ、声を掛け合ってしんどい練習も乗り越えられます。
キツい練習を乗り越えるための対処法
―具体的にどのように声掛けをしていますか?
藤本 男女関係なく、とにかくずっと喋っています。
奥園 しんどい練習も「ほんまにキツイ!」と言葉にして共有すれば、辛いのは自分だけじゃないという気持ちになれるんです。調子がいい時も「今日めっちゃいいかも」と声に出していますね。
―みなさんと練習や試合を経験するなかで、思い出に残っている出来事があれば教えてください。
梶本(一) チーム対抗戦の練習は盛り上がりますね。チームに分かれて、決められたタイム内で泳ぐことでポイントを獲得できます。ポイントが目標数に達するまで終われないので、ゲーム性が高くて盛り上がりますね。
藤本 なかなか終わらないと、先に終わったチームの選手が応援してくれたり、助けに来てくれます。しんどい時にこそ、励ましたり助け合える雰囲気で練習できることが枚方スイミングスクールの良さですね。
ーコーチとの関係性はどうですか?
梶本(一) 練習前に質問をしてコミュニケーションをとっています。練習の目的や意図を確認するために、列ができることもあるくらい。コーチとの会話は多い方ですね。
ーコーチとコミュニケーションを取れていることは良いことですね。枚方スイミングスクールには結果を残されている先輩が多数いらっしゃいますね。皆さんの憧れの選手を教えてください。
梶本(幸) お姉ちゃんです。
一同 おお〜!
仲間とより良い関係を築くためのコツ
―みなさん、とても仲良しなんですね。より良い関係を築くために心がけていることがあれば教えてください。
藤本 調子が悪くてもマイナスな発言は控えて、雰囲気を悪くしないように心がけています。
奥園 例えば、「今日の練習キツイ」と言ったとしても、暗いトーンにならないように笑いに変えたりして工夫しますね。自分の中で溜め込まないようにしつつ、周りの人がストレスにならない言い方をするようにしています。
―後輩の福島さんから見ても、先輩たちの配慮を感じますか?
福島 確かに暗い時はないですね。びっくりするくらい喋っています。静かだなと思ったら寝ていたり(笑)。
梶本(幸) 試合の時も基本はみんなテンションが高いです。誰かが緊張していたら「大丈夫、大丈夫」と励まし合い、全員が良い雰囲気で試合に臨めるように意識しています。
課題や悩み、枚方ならではの解決策
―声掛け以外に何か意識していることはありますか?
梶本(一) みんなで交換ノートをしています。ベストや目標、結果、レースプラン、振り返りなどを共有しているんです。例えば、前回の練習では「こんなことを考えていた」とか「今こういうことを悩んでいるんだ」などノートを見れば、それぞれの状況がわかるんです。
特に中学生の男の子は自分たちほど喋らないから、ノートを見てその人の思考がわかりますね。
―とても良い習慣ですね。仲の良さにも繋がっていそうです。みなさん、オフの日は何をしていますか?
奥園 みんなで食事に行くことが多いです。近所にナンの美味しいカレー屋さんがあるので、頻繁に行っています。
梶本(一) 基本的に体力回復のためお家でゆっくりしていますが、枚方にはいろいろなお店があるので、リフレッシュも兼ねて一人で買い物に行くこともあります。
藤本 私は時間があれば、ケーキやシュークリームなどのお菓子を作っています。料理も好きなので、どちらも小学生の頃からの趣味ですね。
梶本(一) 家が近所なのでよく作ったお菓子を配りに来てくれるんです。そのお菓子が本当に美味しくて…いつでも待ってます!(笑)
―本当に仲良しですね。これまでのお話を踏まえて、自分のチームの好きなところとアピールポイントを教えてください。
奥園 5秒でも時間があれば喋ります(笑)。どんな些細なことでも共有したり、一緒に盛り上がれるところはチームの良いところですね。
基本的に距離感をなくすために、「敬語は無し」という風潮があります。でも中学生くらいの子たちは遠慮から敬語で話しがちなので、年上の方から話しかけたりするようにしています。
―水泳だけでなく、仲間と一緒に過ごす楽しさを味わえるのも枚方の大きな魅力といえますね。最後に、個人の目標を教えてください。
梶本(一) 来年3月のOWS(オープンウォータースイミング※)世界選手権大会(2024/カタール・ドーハ)の代表になれました。その大会はパリオリンピックの選考会も兼ねているので、そこで切符を掴みたいと思っています。
また競泳も大事な試合が続くので、少しずつでもベストを更新し、OWSと競泳の二つの競技で日本代表になることが目標です!
※OWS(オープンウォータースイミング)とは、プールでの競技と異なり、海や川・湖で行なわれる競技です。競泳に比べて、5km・10km・25kmと長い距離で競う。
藤本 私もジャパンオープン2023(50m)で世界選手権大会の代表に選ばれることが目標です。日本水泳連盟インターナショナルの標準記録を切れるように頑張ります!
奥園 先日の日本選手権でOWSの日本代表に入ることができたので、国際大会でしっかり結果を出すことです。競泳ではジャパンオープン2023(50m)がすぐに開催されるので、ジュニアエリートの記録を突破することです。
梶本(幸) ジャパンオープンでは初めてのシニアの大会になるので、そこでベストを出して、日本選手権競技大会のタイムを切りたいです!
福島 全国JOCジュニアオリンピックカップ春季水泳競技大会で決勝に残ることと、来夏のインターハイに出場することです!
―今後も切磋琢磨しながら高みを目指してください。応援しています!本日はありがとうございました。
取材後に開催されたジャパンオープン2023(50m)にて、梶本一花選手とコーチの太田伸氏がOWSに加えて競泳の世界選手権大会(2024/カタール・ドーハ)の日本代表にも選出されました。おめでとうございます!