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「卓球を通じて人間形成を図りインターハイ優勝を目指す」22年ぶり全国ランク入りの伝統校・実践学園高校

実践学園卓球部

監督:

水谷聡(みずたに さとる)さん

1991年生まれ、東京都出身。明治大学卒業後、母校である実践学園中学・高等学校にて、地歴公民科の教諭を務める。現在は同校の卓球部監督として、中高生の指導に力を注いでいる。

ひと目でわかる! チームの特色

  • 全国上位経験のOBがコーチとして指導
  • 卓球を通じて人間形成を図りインターハイ優勝を目指す
  • 社会に出ても恥ずかしくない人間を育てる

1996年にインターハイチャンピオン木方慎之介氏を輩出している伝統校・実践学園。2021年には高橋航太郎(現・明治大学)がインターハイシングルス3位に入るなど再び輝きを放ち始めました。

そして2024年、関東大会3冠を成し遂げて臨んだ長崎インターハイでは、学校対抗ベスト8入りを果たしました。実に22年ぶりの学校対抗ランク入りです。

今回は、チームを率いる水谷聡監督に実践学園卓球部の魅力や今後の展望について話を聞きました。

モットーは「卓球を通じて人間形成をしながらインターハイ優勝を目指す」

ー実践学園卓球部の特徴について教えてください。

ソフト面でもハード面でも環境が整っているというのが特徴です。

寮に練習場が併設されており、やる気次第でいくらでも練習できる環境が整っています。

また、大学や実業団で腕を磨いたOBのコーチがたくさんいて、技術的にもいろいろ教えてもらえるのが良いところですね。

ー充実した環境ですね。

スタッフが多い分、選手をメンタル面、フィジカル面、はたまた生活面でもきめ細かくサポートできるのはとても大きいです。

学校のバックアップも手厚く、卓球部以外の先生方も成績を気にかけてくれるので、そういう雰囲気もすごく大きな支えになっています。

ー伝統校を率いる監督として、大事にしていることはありますか?

実践学園では、「卓球を通じて人間形成を図りインターハイ優勝を目指す」というモットーを掲げています。
これは私の恩師である小曽根先生が掲げたもので、私自身も高校時代には練習前に毎日唱えていました。

当時は人間形成、人間力という部分に関しては、正直あまりピンと来ていませんでした。ただ、年齢を重ねてチームを率いる立場になった今は、いろいろなことが見えてきて、「卓球を通じて人としてどうあるべきか」を選手に伝えたいと思いながら指導にあたっています。

ー人間形成に関しては具体的にどういうことを伝えていますか?

例えば、「どうして返事をする必要があるのか」「挨拶がなぜ大切か」「感謝の気持ちをどう表すか」「LINEやメールの正しい返し方」などですね。

社会に出たときに「この子、しっかりしているな」と評価される人になってほしいと思っています。そういった細かい部分を個人的にはすごく大事にして、選手たちにもそれを高いレベルで求めています。

ー卓球の前に、人として大事なことを教えているということですね。

高校を卒業したら叱ってくれる人も、アドバイスしてくれる人もいなくなります。

だからこそ、今のうちにしっかりと育ててあげて、社会に出ても恥ずかしくない一人前の人間になってほしい。それが一番大事だと思っています。

22年ぶりにインターハイランク入り

ー今年の高校3年生は、特に実践学園中高の6年間で成績を伸ばしていると思います。その要因はどこにあると考えていますか?

高校3年生の代には、下田蓮、水谷悠真、大谷惟乃介、鈴木恵大の4人がいます。

彼らは、中学に入った時からいい素質を持っていました。ただ、小学校まで大きな実績がなかったこともあり、自信や経験が足りていなかったんです。

中学、高校の6年間で精神的にも少しずつ成熟し、良い部分が伸びて、未熟なところも改善されていったのが大きいと思っています。

ー中学3年生の時に全国中学校体育大会で3位に入った実績もある代ですよね。

それも彼らにとって大きな自信になったと思います。
高校入学前に目標を聞いたところ、全員が「インターハイの団体戦で優勝したい」と言ってくれました。

ー中学で3位ですし、高校では全国優勝を狙いたくなりますよね。

彼らの成長ぶりを見ているうちに、インターハイ優勝は手の届く目標だと感じるようになりました。
私も優勝を目指すための指導に切り替えましたし、選手たちも同じ思いで練習に取り組んでくれました。

結果として優勝は叶いませんでしたが、毎日練習に行くのが楽しみになるようなポジティブな雰囲気を作れたことは、私にとっても本当にありがたかったです。

ー最終的にインターハイは、優勝した愛工大名電高校に敗れてベスト8でした。

愛工大名電に勝たなければ優勝はないので、どのラウンドで対戦しても関係ないという気持ちでした。愛工大名電に勝って優勝しようとずっと準備してきましたし、選手たちもその気持ちで臨んでくれたと思います。
結果的には1-3で敗れてしまいましたが、2番の下田がゲームカウント2-2の4-1でリードしていたので、あそこで勝たせてあげたかったなという思いがあります。

ー3番のダブルスは勝利して、意地を見せましたね。

結果的にはインターハイチャンピオンのペアに大会で唯一土をつけられたので、ダブルスは本当によく頑張ってくれたと思います。
試合が終わりそうなとき、「このメンバーとインターハイ優勝を目指すのも終わりか」と思うと悔しい感情がこみ上げて涙が出そうでした。

選手たちも本気で全国優勝を目指していたので、悔しさが残ったと思います。それでも、彼らが僕の夢でもあるインターハイ優勝を背負って最後まで戦ってくれたことに心から感謝しています。

監督就任当初は思うような結果が出なかった

ー監督をしていて、1番苦しかった時期はありますか?

監督になってから最初の3、4年は苦しかったです。

剣持将作(現・明治大学3年)や、高橋航太郎(現・明治大学2年)のような、小学生世代の全国ランカー選手が入ってくれたにもかかわらず、全国大会で上位に進出できず、もどかしい時期が続きました。

ー実力ある選手が揃っているのになかなか学校対抗では勝ち上がれていない印象でした。

今の高校3年生が2年生だった時の北海道インターハイでは、ベスト8を狙っていたものの、3回戦で関西高校に0-3で敗れました。

その時期は、選手たちの思いと僕の思いがうまく噛み合ってなかったですね。

でも、彼らを信じて頑張った結果、1年を通じて大きく成長することができました。1年前の苦しさがあったからこそ、今回の結果に繋がったのではないかと思います。

ー逆に嬉しかったことはありますか?

2024年のインターハイ学校対抗ランク入りもそうですが、関東大会で水谷悠真が3冠を達成したことも嬉しかったです。
2日間でシングルス、ダブルス、団体戦と20試合近くこなすのは大変だったと思います。

最後のシングルスが終わったのは夜の8時過ぎでした。最後もフルゲームデュースとギリギリの戦いを勝ち切れたのは、技術的にも精神的にも本当に強くなってくれたなと感じました。

伝統を引き継ぎ長く愛されるチームへ

ー今年卒業する3年生にメッセージなどはありますか?

「インターハイ学校対抗優勝」という目標を本気で目指して頑張ってくれたことに本当に感謝しています。
特に下田と水谷の2人が中心となってチームを引っ張ってくれたおかげで、僕自身も助けられた部分が多かったです。

それぞれの進路に進み、さらに厳しい環境に身を置くことになります。大学での競技生活を通してさらに成長し、ぜひ実業団やTリーグ、海外プロリーグなど、次のステージを目指して頑張ってほしいと思います。

その活躍が後輩たちへの大きな刺激にもなり、僕自身の励みにもなります。これからも実践学園卓球部の夢を背負い、さらなる挑戦を続けてほしいと願っています。

ー今後のチームの目標についても教えて下さい。

私は現在33歳で、あと30年ほどは教員生活が続く見込みです。その間に必ずインターハイの学校対抗で優勝したいと思っています。

また、実践学園卓球部が長く愛され続けるためにも、先輩方が築いた伝統を継承し、次の世代へ繋ぐ使命があると感じています。

勝てるチームであること以上に「実践学園で卓球をやりたい」「実践学園で卓球をできて良かった」と思ってもらえるようなチームを作っていきたいです。

選手たちにも、そういう思いを持ちながら取り組んでほしいですし、僕自身もそれを実現するために頑張りたいと思います。

部活動を単なる競技の場ではなく、人間形成の場と捉え一人ひとりに寄り添いながら行う指導は、選手たちにとっても大きな財産になるでしょう。伝統を受け継ぎつつ、さらに大きな夢を追いかける実践学園卓球部の未来を心から応援しています。



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