SPOTTO
代表:
小山まぐま(こやま・まぐま)さん
学生時代は静岡県内の中学校、高等学校でプレー。國學院大学進学後は卓球部には入らず、たまに静岡県内の大会に出場する程度で卓球と関わる。東京への転職を機に2020年にSPOTTOを設立。名前のまぐまは「インパクトがあり、上からでも下からでも同じ読みになる語呂の良さ」から採用したとのこと。
ひと目でわかる! チームの特色
- まだまだ強くなりたい選手が多い
- チーム内で独自のランキング制度を持つ
- 草の根卓球界を盛り上げられるチームに
元世界選手権オランダ代表のG.C.Foersterさんをはじめ、全国で好成績を残している選手らが集うクラブチームがSPOTTO(スポット)です。
所属選手も90名を超え、東京都内でも有数の規模と実力を誇るチームとして名を馳せています。
SPOTTOの代表であり主力選手でもある小山まぐまさんにお話を伺うと、卓球とチームへの熱い思いを明かしてくれました。
社会人になって常に自己最強を更新中
ーまず、小山さんの卓球の経歴を教えてください。
父親が卓球をやっていた関係で、実家に卓球台があったんです。そのため、2、3歳の頃から遊び半分で卓球をしていました。
中学、高校は卓球部に所属していましたが、弱小校で県大会にも出場できないほど。大学でも部活に入れるような実力ではなく、地元に帰省したときに大会に出る程度で卓球を続け、就職後は地元の静岡県で父親の運営するクラブチームに入りました。
2018年に転職で東京に移り、2020年にSPOTTOを設立。今は週1~2程度で練習しています。
ーSPOTTOは強豪チームのイメージがあるので、小山さんも強豪校で腕を磨いてきた卓球エリートなのかと思っていました。
むしろ社会人の今が一番卓球をやっていますね。
学生時代にそこまで卓球に打ち込んでいなかったので、やればやるだけ強くなれて、常に最強を更新し続けています(笑)。
ー全日本社会人卓球選手権出場や全国卓球選手権大会・30代の部で3位入賞など、社会人になってから全国大会でも素晴らしい結果を残されていますよね。何か強くなるきっかけがあったのでしょうか?
1番大きな変化は、足と身体の使い方を解剖学の書籍などで勉強したことと、それを最大限に発揮するためのフィジカルトレーニングをやり込んだことです。
ーフィジカルを鍛えてどう変わったのでしょうか?
昔からバックハンドが大の苦手なのですが、フィジカルを鍛えて足と身体をしっかり使えるようになったことで、弱点をカバーするフォアハンド中心のプレースタイルに変えることができました。
戦い方をシンプルにしたことで思考が整理され、フォアハンドに結びつける得点パターンをどんどん増やせて、勝てるようになりました。
加えて、弱点のバックハンドも年々強化し続けているので、常に進化しながら卓球ができています。
卓球へのモチベーションが高い選手が多い
ーSPOTTOに所属している選手はどのような方が多いのでしょうか?
“類は友を呼ぶ”という言葉もあるように、私と似ていて、社会人になってからも本気で強くなろうとしている方が多いです。
私のように学生時代にやり残したことがあるのか、今卓球へのモチベーションが高い選手が多くいます。
ーチームに入るための基準はありますか?
周りと一緒に強くなっていきたいという気持ちを持った人であれば、基本的に歓迎しています。
ただし、あまりにも実力差があるとお互いにとって良くないので、誰か1人に1ゲーム取れるということは1つの基準に考えています。
その上で1番重視しているのは、チーム内でのコミュニケーションなど人柄の部分です。副代表が2人いて、自分とそのどちらかが問題ないと判断すれば入部を認めています。
ー大所帯ですが、チーム運営で気を付けていることはありますか?
しっかりした人が多いので、特にこれと言ったルールは設けていませんし、大きな問題が起きたこともありません。
強いて言えば、若いメンバーも多いのでチームの活動にお金がかからないようには気を付けています。
例えば、ユニフォーム代も知り合いの伝手を使って5000円ほどですし、飲み会もなるべくレンタルスペースを借りて1人1000~1500円で収まるようにしています。1回の練習会も500円ほどで参加でき、入会費や年会費などの特別な費用を徴収することもありません。
ー金銭面での障壁を取り除いているわけですね。
そうですね。「お金がかかるから」という理由で参加できない人が出てしまったら悲しいですし、卓球とは直接関係のない理由で障壁が生まれないようにというのは、結構意識しているところです。
試合と同じ緊張感を出すためのランキング制度
ー練習はどのような雰囲気でしょうか?
基本的には、週に1回新宿区か川崎市の施設を借りて練習会を開催しています。
SPOTTOの練習会では、課題を克服するための練習も多少はあるのですが、自分が一番重きを置いているのがゲーム練習です。
というのも、練習でしか使えない技術ではなく、実践で使える技術を身につけるというのを私がモットーにしているからです。
ー確かに、練習でできても試合で発揮できないと意味がないですよね。
そのためには、練習でも本番と同じような緊張感で試合をすることが重要だと考えています。
どうすればその緊張感を作れるのかなと考えたときに、ランキング制度を思いつきました。
ーどういった制度ですか?
世界ランキングを参考にしていて、年間の上位8大会や練習会での順位に応じてポイントを設定し、ランキングをつけるというものです。
ランキングの順位に応じて、上位の選手は次の大会ではAチームで出られるなど、チーム分けの判断材料にしています。
加えて、下位の選手にも良い緊張感でやってもらうために、ランクに応じて2点ハンデ、4点ハンデなどハンデマッチ制度も設定しています。
これにより全体的に実力が拮抗して、負けられない試合に似た緊張感が維持できる仕組みになっています。
ーランキングがあることで、モチベーションも上がりそうですね。
各練習会のランキング1位の選手には、賞品も用意しています。
私が自腹で賞品を提供しているので、なるべく自分で回収しないと赤字になります(笑)。それもあって自分自身も良い緊張感で試合ができています。
チーム独自のWEBアプリで運営も
ーチームを作って3、4年経過した中で、特に印象的だった出来事はありますか?
たくさん思い出はあるのですが、1つあげるとすると、チーム専用のWEBアプリをチームメイトが作ってくれたことですね。
ーチーム独自のものがあるのは驚きです。
元々は、練習会の案内やランキングの更新は私が手動で行っていました。しかし、作業量が多く、寝る時間を削ってやらないといけないこともあり、負荷が増えてきていました。
そんなときに、SPOTTOにいるエンジニアのおのぽんさんという方が「まぐちゃんを寝かす会」というプロジェクトを立ち上げて、練習会を全て自動で運用するアプリを開発してくれました。
PONNOシステムと言って、必要な情報を入力するだけで練習会の案内がグループLINEに流れ、参加登録や試合結果の閲覧などもできる優れものです。
ーチームメイトが代表である自分のためにひと肌脱いでくれるのは、嬉しいですよね。
代表冥利に尽きますね。試合で結果を出して恩返ししたいというモチベーションに繋がっています。
また、最近だとチームメンバーの加入の際に嬉しいことがありました。
ーどういうことがあったのでしょうか?
水谷匡孝さんという、元々実業団・百五銀行のレギュラーだった方が今年から加入してくれたのですが、昨年のクラブ選手権予選が終わった後に「熱いプレーを見て、一緒に戦いたいと思いました」とDMをくれました。
実はその時までクラブ選手権の予選で、個人としては1回も負けたことがなくて、その日は初めて負けた試合でショックを受けていたんです。
でも水谷さんの「小山さんのプレーを見て、SPOTTOで来年出たいと思いました」というDMで、翌年に向けて気持ちが切り替えられたので、とても印象的な出来事でした。
クラブ選手権予選敗退の翌日、全国3位に
ーチームとして掲げている目標はありますか?
設立時には、3年以内に東京都予選を突破して、全日本クラブ卓球選手権に出場することを目標にしていましたが、通過できずに4年が過ぎてしまいました。
メンバー自体は揃っていると感じているだけに悔しいですね。
ー東京は激戦区なので、なかなか難しいですよね。
今年は、早稲田大学出身で全日学ベスト16の行則一秀さんに加え、水谷さん、副代表の内田碧さん、自分の4人で、しっかり調整した状態で30代の部の予選に出場しました。
しかし私がシングルスとダブルスで2敗してしまい、予選敗退。
プロコーチの菴木伸吾さんのチームに負けてしまったのですが、試合後に菴木さんが長文でアドバイスを送ってくださいました。
ー菴木さん、粋な計らいをされますね。
その翌日、菴木さんのアドバイスを意識して個人戦の全国大会に臨んだところ、3位入賞を果たすことができました。
本当にありがたかったです。周囲の人に恵まれているなと改めて感じた出来事でした。
ーSPOTTOの今後の展望はどう思い描いていますか?
もちろん来年こそは何としてもクラブ選手権に出場したいなど、成績としての目標はあります。
ただ、今1番思っていることは、草の根の卓球界を1番盛り上げられるチームになりたいということです。
例えば、「あの大会、SPOTTOの選手が出るらしいから出たいね」とか「SPOTTOの選手と試合してみたいね」とか、草の根の大会や卓球界の盛り上げに貢献できるようになれるのが一番の理想です。
全国大会のような大きい大会以外で注目してもらえるくらいSPOTTOの存在感を大きくしていって、これまでお世話になってきた草の根卓球界に恩返しができるようなチームになっていけたらなと思っています。
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