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IH・選手権の両方で全国大会出場!広島国際学院高校サッカー部「選手主体で作る試合戦略」

広島国際学院高等学校サッカー部

監督:

谷﨑元樹(たにざき・もとき)さん

小学3年生でサッカーを始め、高校生まではプレイヤーとして活躍。その後、鹿屋体育大学に進学しサッカー部に所属。プレイヤーだけでなく指導者としてのノウハウを学ぶ。卒業後、広島国際学院高等学校のコーチとして17年間指導。2年前からサッカー部監督に就任。同校の指導者として、今年で18年目を迎える。

ひと目でわかる! チームの特色

  • 国立大学も目指せる確かな文武両道
  • 選手が主体的に考える指導
  • 論理的思考を用いて意見を交わす

広島市の中心部から少し離れた場所にある「広島国際学院高等学校」。同校サッカー部は2023年だけでもインターハイ、全国高校サッカー選手権のどちらも全国大会に出場している県内屈指の強豪校です。

国立大学進学も目指せる高いレベルの勉強もこなしながら、毎日練習する選手たちをまとめるのは、就任2年目の谷﨑監督。本当の意味で文武両道が叶えられる広島国際学院高等学校サッカー部の魅力を取材してきました。

国立大学への進学も目指せる本物の文武両道

ーまずは、監督の経歴を教えてください。

小学校3年生のころ、友だちに誘われてサッカーを始めました。当時住んでいた地域のスポーツ少年団は3年生からしか入れなかったので、周りも同じくらいからのスタートでした。そこからサッカーを好きになり、最終的には大学生まで続けました。

ー大学もサッカーをするために進学先を選んだのでしょうか?

プレイヤーとして真剣に取り組むのは高校生までと決めていたので、大学では指導者としてのキャリアを目指しました。サッカー部には所属していましたが、サッカーを論理立てて教える方にシフトしたので、プレイヤーとしてバリバリやっていたわけではありません。

ーサッカーの指導には説明しづらい感覚的な部分もありそうですが…。

感覚的な部分をいかに言語化して論理的に伝えられるかを考えています。選手にも論理的に人に伝えるように教えています。プレーひとつをとっても「ただの文句」になるか「建設的な意見」になるかは、論理的に相手に伝えられるかどうかです。

ー論理的に説明するには学力も必要そうですね。

うちの学校の魅力は、本当の意味での文武両道が実現できるところです。県内の進学校と同等の学力もカバーし、私立高校ですがスポーツ科がないので、全員7時間しっかり授業を受けてから部活をします。授業内容も大学進学を前提としたカリキュラムなので「考える力」は学校生活で自然と身につくはずです。

自走するためには論理的に説明する“会話”が大切

ー普段の練習ではどのような指導をしていますか?

“選手に考えさせる”指導をしています。もちろん、最初はこちらから教えますが「自走するようになったな」と思ったタイミングで口を出すことを控えます。自走できるようになったら、課題改善のための練習メニューを与えるだけで「どうしたら良くなるか」は伝えません。選手たち自身が考えて答えを見つけ出せるようにしています。

ー考える力と会話が必要になる理由がそこにあるんですね。

そうですね。失敗した課題を解決するためのメニューなので、最初からうまくいくわけがないんです。そこで選手たちは自ら考え、意見交換をしながら手探りで答えを探していきます。なので“会話”が必要になるんです。

最適解を見つける作業なので会話は欠かせません。話して、試して、失敗して…を繰り返しながら練習しています。最初から解説しても良いんですが、それだと選手は考えなくなりますからね。

ーそれぞれの意見が違うことももちろんあると思います。ぶつかることはありませんか?

当然あります。複数の意見が出てきたとき、その中からどれを選ぶか議論します。最終的な目標に向かって話し合いを重ねる過程では、誰かが譲ることの重要性も伝えていますね。

ー大人顔負けのレベルの高い会話が繰り広げられそうですね。

「サッカー偏差値が高いね」と言われるんですが、それは感覚的ではなく論理的に相手に説明するようにしているからだと思います。僕の役割は「教える」というより気付く「きっかけ」を作ること。個人が気付けば、その過程で人に伝えられる何かがきっとあるんです。そうするとちょっとチームが良くなります。その繰り返しですね。

指導するうえで大切にしているのは「否定しない」こと

提供:広島国際学院高等学校サッカー部


 
ー指導するうえで大切にしていることはありますか?

「否定しない」ことです。例えばシュートを外してしまった選手に「外すな」といった否定的な言葉は使いません。外すことが怖くなってできなくなるより、トライする姿勢の方が大事。高校生なので、失敗を恐れずどんどん挑戦してほしいですし、その結果を否定するようなことは言いません。会話が大事なのでチーム全体で意見を出す機会も多いのですが、否定しない環境なので、学年や経験関係なく、意見は出やすいですよ。

ー意見を言いやすい環境があるのも重要ですね。

中学生までどこのチームでプレーしていようが、強いチームにいた選手がえらいわけではなく、みんな対等だということを、入部時点で選手にも伝えています。でないと楽しくサッカーができないですよね。楽しくないと意味がないと思っています。楽しさの中に厳しさがあるから続けられるのであって、厳しいだけでは面白くありません。

ー挑戦しやすい雰囲気がプレースタイルに表れるのではないでしょうか?

チームによってはプレースタイルが明確なところもありますが、うちにはそれがありません。僕は選手にも「やりたいサッカーはありません」と話しています。その学年でやれるサッカーをやります。なので学年によってプレーの特徴が違います。その学年で一番できそうなこと、最適解を見つける作業をするだけです。

守備には一定の傾向が出るかもしれませんが、攻撃の型は自由。「勝ちたければ君たちが勝てるようにやればいい」という指導をしているので、学年によって最適解を見つける速度も違いますね。

ー自由に考えて行動するスタイルは大人になってからも活きそうですね。

サッカー選手の寿命は約26歳と早いんです。サッカーだけをやっていると、引退後のセカンドキャリアが厳しくなります。思考できない大人にならないよう、高校生のうちは勉強すべきだと思っています。結局、高校時代に築いた学力と思考力は、大人になっても使えますから。
なので、こちらから答えを与えるのは簡単ですが、我慢の日々です。

ー最後に、どんな人に入ってほしいですか?

サッカーに関しては、その学年でできることをやるスタイルなので、どんな選手でも受け入れています。ただし、私立高校なので一定の学力が必要です。本校を第一志望に選んでくれる選手も増えましたが、何より中学時代からきちんと勉強に取り組んでいる人に入ってほしいですね。

インタビュー中も一貫して「選手に怒ることはないです」と話していた谷﨑監督。自分の意見を汲んでくれ、のびのびとサッカーができる環境は、選手に良い影響が大きいと感じられました。引き続き試合が続きますが、これからどんなサッカースタイルが見られるのか、楽しみです。


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