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「中国大会で勝てるチームに」高校サッカーで活躍する選手を育てる青崎フットボールクラブの視点

青崎フットボールクラブ U-15

監督:

荒井俊介(あらい・しゅんすけ) さん

1992年生まれ。青崎FCの小学生カテゴリー出身。広島市立大州中学校サッカー部→広島県立広島観音高等学校サッカー部→広島修道大学サッカー部と、強豪校でサッカー選手として活躍。高円宮杯全日本ユースU-18など全国大会の出場経験は5回あるほか、広島県高校選抜にも選出。2023年より青崎FC U-15の監督に就任。

ひと目でわかる! チームの特色

  • 高校サッカーを見据えた選手の育成
  • トレーナーや管理栄養士からのサポートも受けられる
  • 経験豊かな若年層の指導者たち

サッカー少年少女を持つ広島市内の保護者なら、一度は名前を聞いたことがあるであろう「青崎フットボールクラブ」(以下、青崎FC)。1969年に発足された地域のサッカーチームである青崎FCは、小学生から高年齢までいくつものカテゴリーで構成されています。歴史は古いチームですが、実は中学生のカテゴリーができたのは2013年。まだまだ発展途中の青崎FC U-15の荒井監督にチームの強みを取材してきました。

成長期の選手たちの身体づくりと動きづくりを

ーチームの特徴を教えてください。

11年前、青崎FC U-12の選手含め、近隣の小学生の受け皿としてチームが発足しました。まだクラブチームも少なかったので、当時は3学年で90名の選手が在籍していました。他クラブチームも増えた影響で現在は3学年で40名程度ですが、遠くから入団してくれる選手も増え、ここからまたチームとして一回り大きくなっていくのだろうと感じています。

他のチームにはあまり見られないものとして、月に一度のトレーナー指導と、年に数回の管理栄養士による食事調査を取り入れています。トレーナーは接骨院を営む先生で、高校サッカー強豪校や中国大学選抜のトレーナーも務めている実力のある方です。

サッカーで最も怖いのが怪我。怪我をしてしまうと試合にも出られませんし、最悪サッカーを続けることも難しくなってしまいます。中学生になって身体が大人に変わるタイミングなので、自分の身体を見つめるという意味でも、専門家のトレーナーにお願いして毎月指導してもらっています。

ー管理栄養士による食事調査はどのような内容でしょうか。

日頃の食事内容を管理栄養士の方に送り、フィードバックをもらいます。身体が成長していくこの時期は、食事面でも注意が必要です。中学生に合った栄養バランスを教えてもらいます。いただいたフィードバックをもとに、補食や普段の食生活を見直していきます。

私自身、高校に行って栄養指導を受け、食事を意識した結果、華奢だった身体が1年で16Kg増量し、プレーも力強くなりました。 自身の経験からも、良いことは在籍している選手たちにも共有し、自身のレベルアップにつなげてほしいと思っています。

メインとなる指導者を若年層の経験者で構成

左:湊 晋平コーチ 右:荒井 俊介監督


 
ー練習を拝見していると指導者陣がお若く見えますが、年齢を教えていただけますか。

私は32歳です。コーチも30代後半。ほかの指導者も同じくらいの年齢層です。選手たちは多感な時期なので、指導者でもあり、良いお兄ちゃんでもあり、良い距離感で接することができていると思っています。まだまだ中学生よりも動けるので、高いレベルでプレーしてきた経験をそのまま見せられるのは、うちの魅力のひとつだと思います。

ー荒井監督は青崎FC出身ですが、在籍当時から選抜レベルの選手だったのでしょうか?

当時は中学生カテゴリーがなかったので、小学生カテゴリーのみ青崎FCに所属していました。中学生のときはトレセンにも選出されず、個人としてはもちろん、チームとしても強くなかったですね。それでも自分で考えながらコツコツ練習を続けることで、高校生になって芽が出ました。

ー若年層の指導者ということで、逆に苦労したことはありますか?

私には中学生の子どもがいないので、日々選手との向き合い方を自問自答しています。指導当初は、保護者の方からも「若い監督で大丈夫…?」という声もありました。 当時はどうしたら理解してもらえるのか、どう歩み寄れば良いのか悩みましたね。しかし、私たち指導者も中途半端な気持ちで指導しているわけではありません。サッカーを通してこちらの想いや熱意を伝えるように努力しました。今は私たちを信頼して選手を任せてくれていると感じています。

高校で全国大会や日本代表に選ばれる選手を輩出

ー中学生サッカーは身長などのフィジカルが重要になると思いますが、小柄な選手も多数在籍されていますね。

中学生年代までは、身体の成長面で差が出てくる時期です。だからこそできること、やらないといけないことが見えてきます。例えば足下のテクニックであったり身体の使い方であったり、小柄な選手たちが自分たちに期待して、強い向上心を持って取り組めるような環境づくりを心がけています。

ーもちろん、身体が大きなチームや格上のチームと試合をする機会もあると思いますが、選手たちのモチベーションはいかがでしょう?

それで言うと、選手自身が第一志望だったチームと対戦する機会もあります。うちの選手には、そういったチームに負けたくない! 勝ちたい!という反骨心があるので、試合に対するモチベーションは高いです。ただ、今の時点で強いチームに勝てるほど甘くはありません。私も、「今は勝てんよね、仕方ないよ。ただ、3年後はわからんよ。そこに向けて今頑張ろう!」と声をかけています。 3年後には体格差って縮まっていると思うんです。そのとき、身体が小さいときに青崎FCで身につけたことがプラスになっているはずです。

ー3年後というと高校サッカーを見据えての指導になりますね。

もちろん、中学生の今も勝ちたいですが、高校サッカーで活躍できる選手を育てたいという思いもあります。実際に青崎FC出身の選手の多くが、高校サッカーで活躍しています。現在チームは県2部リーグに所属していますが、強豪校へ行き、しかもキャプテンになる選手も多いですね(笑)。

昨年の高校選手権県大会決勝で決勝点を入れた選手がいるのですが、うちに来たのは、近くのチームのセレクションに落ちたからでした。在籍中は怪我もあり、苦しい期間もありながら、諦めずに努力を重ねたからこそ、あの舞台で活躍できたのだろうと思います。私は中学生を連れてその決勝戦を観戦していたのですが、OBの活躍を目の当たりにして、中学生たちは相当刺激を受けたようです。

ほかにも、昨年在籍していた女子では、U-15日本代表のトレーニングキャンプに呼ばれた選手もいるんです。この選手も他チームのセレクションに落ちてからうちを選んでくれましたが、男子顔負けのプレーでチームを牽引してくれました。

中国大会で勝てるチームに

ー今後のチームの目標をお聞かせください。

高校サッカーで活躍する選手を育てるのはもちろんですが、中学生のカテゴリーでも結果を出したいです。2年前より少しずつチームの形もできてきて、周りからの目やチームの立場も変わってきたと感じています。 近年は中国大会に出場できていませんが、出場するだけでなく、中国大会で勝てるチームになることが目標です。

ー中国大会を目指すためにどのような選手に入ってほしいですか。

本気でサッカーがうまくなりたい子に入ってほしいです。成長速度は人それぞれで、中学で活躍する子もいれば、高校、大学で活躍するようになる子もいます。“今”の結果だけを求めていると、どれだけ練習しても成果が出ない時期も来ると思います。
そのとき、くじけずに日々の練習に100%で取り組める子に入ってほしいです。

ときには厳しい指導もしますが、“下手”だから厳しく言うことはありません。“やらない”から言うだけ。野心のある子や負けず嫌いの子にはぴったりのチームだと思います。

伸びしろたっぷりの青崎FCの中学生カテゴリー。「“つなぐ”という言葉が好きなんです」と話す監督は、小学生カテゴリーから受け取ったバトンを高校生カテゴリーまでつないで送り出すことを意識しているそう。選手や保護者との向き合い方を大切にしている温かいチームでした。これからも、中学生、高校生と、長く活躍する選手が輩出されることを期待したいですね。


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