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速くなりたい。純粋な思いで陸上チームを作った中学生が「社会人になっても走り続ける理由」

Infinity Athlete & Running Club(I.A.R.C)

選手兼コーチ:

佐藤佑(さとう・ゆう)さん

至学館大学卒。中学から陸上部で中長距離を始め、大学まで競技を継続。1500mで東海インカレ入賞、東海学生秋季大会優勝等活躍し卒業後は教員として陸上部を指導。現在は公務員として勤務する傍ら、I.A.R.Cで競技を続け、MDCファィナル、全日本実業団対抗陸上等出場、各種目で自己記録も更新している。

統括コーチ:

服部秀仁(はっとり・ひでひと)さん

中学高校時代に駅伝で県大会優勝、全国高等学校駅伝競走大会にも出走。大学でもロードを中心に競技を行い、実業団まで選手を継続しニューイヤー駅伝にも出走。引退後、母校の愛知学院大学にてコーチに就任。その傍ら、2020年に交流があったI.A.R.Cの監督からオファーを受け、I.A.R.Cのコーチに就任し、選手たちにアドバイス等を行っている。

ひと目でわかる! スクールの特色

  • 「選手ファースト」
  • 陸上が好き、走ることが好き
  • 上を目指すために真剣に取り組む、だけど楽しく

「速くなりたい」。中学生たちの思いから生まれた陸上クラブチーム、Infinity Athlete & Running Club(インフィニティ アスリート アンド ランニング クラブ、以下、I.A.R.C)。

加速する駅伝、陸上人気の中でも、全国のクラブチームの盛り上がりは目を見張るものがあります。

実業団チームがまだまだ力を持つ中で、社会人クラブチームはどこまで戦えるのか。
仕事やプライベートもありながら「走ること」「タイムを上げること」に熱中できる理由とは?

愛知県刈谷市と名古屋市を拠点に活動するI.A.R.Cを取材しました!

クラブチームの域をも超えて

写真左・服部秀仁さん、右・佐藤佑さん


 
ーI.A.R.Cの成り立ちについて教えてください。

佐藤 もともとは中学校時代に陸上部の長距離選手数名で「部活外でも走りたい」「もっと速くなるためには自主練が必要だ」ということで集まりだしたのがきっかけでした。そこから部活以外でも大会に出たいということで、本格的にチームを陸連に登録、公式に認められたクラブチームとなりました。来年で創設して15年になります。

ーどんなチームですか?

佐藤 僕たちは「選手ファースト」を大事にしています。監督やコーチが指示を出すのではなく、メニュー、練習のウェイト、出場する大会なども、自分のスケジュールと目指す目標に合わせて自己プロデュースしています。なので緩く楽しく練習することもできるのですが、このチームの面白いところはそれぞれがより上を目指して厳しい設定を課すところです。

それぞれの練習メニューや大会結果を共有しているので仲間が頑張っているのが目に見えて分かり、「自分ももっと頑張ろう!」という刺激になっています。走ることが好きな人ばかりで、きつい練習をしていても「仲間も頑張ってるから自分も頑張ろう」となるチームの雰囲気がこのチームの良いところです。

大会にも積極的に出ていて、愛知県内だけでなく全国各地のレースに出場しています。近年では実業団と同じようにニューイヤー駅伝の予選会にも出られるようになりました。

―それはどういった経緯があったのですか?

佐藤 これまで、予選会の記録は実業団のみが公式に認められていました。ですが、クラブチームの実業団登録が可能になったことにより、オープン参加ではなく、正式にニューイヤー駅伝の地区予選(中部実業団駅伝競走大会)への出場を目指せるようになったんです。それだけでなく全日本実業団対抗陸上や、東海陸上選手権にも出場できる選手も出てきました。先にも言った通り、上がいるほど燃える人が多いので、いつか下剋上で実業団を超えたいと奮闘しています。

愛知県(刈谷市)は種目に限らずプロチーム、実業団チームが多く、中高生のスポーツのレベルもかなり高いです。地域柄、各方面スポーツへの関心が高い中で、陸上長距離にいたっては実業団チームが男女共に全国トップクラスの競技レベルであるためやはり注目されがちです。

そうなると僕らのようなアマチュアチームの存在はどうしても薄くなってしまいます。そんな中で少しでも結果を残し、アマチュアながら知名度を上げていけたらと考えています。

―現在は社会人メンバーが多いとお聞きしましたが、チームとして普段はどのように練習されているのですか?

佐藤 平日は仕事をしながら退勤後19時ごろに集まれるメンバーで練習するという形をとっています。しかし、住まいが遠方などそれぞれの事情で集まれないことも多々あるので、そういう時には自分の専門種目に合わせてその日のメニューをそれぞれでこなすようにしています。お盆などまとまった休日が取れるときには合宿をおこなっていますね。

また、社会人だけでなく大学生、高校生、中学生なども頻繁に練習に参加しています。もともとは部活動の延長で、自主練という形でやっていたように、今でも学生が自主練という名目で来てくれているんです。クラブチームとして提供しているわけではないので、子どもたちから会費はもらっていません。

自分達がそうであったように「もっと速くなりたい」と思う子たちのために、僕も含め教員時代の仲間たちや教員をやっているメンバーが「プラスで走りたいならここに来いよ」と声を掛けているんです。子どもたちは、自分のその日の体調や気分と相談して、来たり来なかったりと各々自分で調節しています。

ークラブの運営としてはどのようにメンバーとコミュニケーションを取っているのでしょうか?

服部 大会や合宿の予定などはTeamHubを使って共有しています。大会の結果や動画、練習日時、その日の自分の練習メニューは都度SNSのグループチャットで送りあっています。常にお互いの努力と結果が分かるようになっているのでモチベーションの維持にもなっています。

僕はコーチという立ち位置でやらせてもらっています。各々のメニューも負荷も選手によって違うので、選手が出してきたものに対してアドバイスしたり、練習を見られるときにはフォームやペース配分など客観的視点から言えることを共有したりしています。

佐藤 僕は選手兼コーチも担っていて、主に中高生に対して、これまでの経験等も踏まえて助言しています。ただ、このチームの基本理念は「選手ファースト」ですのでそこは変わらず、指示を出すのではなく子どもたち自身の選択を尊重するようにしています。練習面でアドバイスするのは、技術的なところぐらいです。

ー選手だけでなく指導者や審判、教員などの資格取得をしたサポートスタッフも多いとお聞きしました。チームでは資格の取得等も推進しているのですか?

服部 このクラブチームに入って資格を取ったというよりは、みんな陸上に関わってきた人たちなので、それぞれが元々持っていたというのが正しいでしょうか。

大学の部活でとる必要があったり、部活を指導するために持っておこうなどからコーチ資格と審判資格を持っている人が多かったんです。もちろんここに入ってから取るメンバーもいます。

運動部活動の地域移行が推進され、徐々に学校という場での部活動は減っていきます。そうなったときに子どもたちの受け皿になり得る場所として、資格を持っていたほうがいいだろうなとも考えています。

ーどんな人に仲間になってほしいですか?

佐藤 陸上が好きで続けてくれる人がいいですね。そうであれば競技経験の有無も問いません。正直、競技レベルの高い人が揃っていますが、みんな社会人になりたての頃はそこまで強くありませんでした。

言ってしまえば実業団で競技を続けることが叶わなかった人たちが多いです。それでも走ることが好きで、速くなりたくてこの場所で練習をしているんです。それくらい真剣に取り組める人に来てほしいです。
とにかく陸上を楽しんでいるので、上を狙って真剣に走りつつ、そんな真剣さも一緒に楽しむことができたらいいなと思います。

また、先にもお話した通り、部活動が地域移行されるなどこの先クラブチームとして果たす役割も大きくなっていきます。来年度には15周年を迎え、これまで以上に子どもたちやアマチュアランナーが活躍できるよう運営側もサポートしてまいります。もしご支援くださるスポンサー様がいらっしゃいましたらぜひ一度ご連絡下さい。

仕事と競技、二足の草鞋をはきながら「走ることが好き」というシンプルな思いから活動を続けてきたI.A.R.C。常に上を目指して努力する楽しさを中学生から社会人までみなさんが知っていて、真剣に勝負し楽しむスタイルがとても素敵でした。
いつかみなさんの努力が実を結び、実業団を超えた存在になることを楽しみにしております。貴重なお話をありがとうございました。

 



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