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僕たちが大学アメフトを変える…早稲田の敏腕マネージャーが「学生だけの組織を作った理由」

早稲田大学米式蹴球部(アメフト部)

マネージャー:

東晃司(ひがし・こうじ)さん

2003年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学高等学院を経て、早稲田大学社会科学部に在学中。高校でアメフトに出会い、選手として日本一を目指し活動。大学進学後、マネージャーに転向してアメフト部に入部。業務と並行して、2024年に観客動員数を増やすことを目的とした学生組織「大学アメフト・スチューデント・ユニオン」を設立し、精力的に運営中。

東さんが設立した学生組織 3つの特色!

  • 目的は大学アメフト発展の為の観客数増
  • 関東アメフト連盟加盟の複数大学で構成
  • 連盟やOBOGに協力を仰ぎ集客案を模索

日本一を目指し、自分たちで戦略を立てていく

2024年4月、コロナ禍を経て5年ぶりに開催された早慶戦に、アメリカンフットボールのルーツ校である3校(立教大、明治大、同大)の創部90周年を記念して行われた大会ROOTS BOWL。そのどちらも勝利を収めた早稲田大学米式蹴球部は、同大創設者・大隈重信にちなみ付けられたBIG BEARSの愛称のもと、日本一を目指し、日々鍛錬を積んでいます。

大学の掲げる建学の精神に則り、“学生主体”が特徴であり強みでもある同部ですが、これはプレースタイルに限ったことではありません。選手たちを支える縁の下の力持ちである、スタッフの活動にも表れています。

同部マネージャー・東晃司さんは今年2月、関東学生アメリカンフットボール連盟(以下、連盟)に所属する他大の学生に呼びかけて、ある組織を立ち上げました。なぜこのタイミングで、何をするために設立したのか。東さんに動機や経緯、目的等をお聞きしました。

ーアメフト経験者でもあるんですね。

高校までプレーヤーとしてアメフトに関わってきましたが、大学入学を機にマネージャーとして入部を志望しました。理由は支えるということにやりがいを感じ、また、デスクワークが好きだったこともあります。

東さんがマネージャーを志したきっかけやお仕事内容についての記事はコチラをどうぞ。

https://teamnavi.joynup.jp/2024/04/01/001012/

ー学生組織についてのお話を伺う前に、東さんから見た早稲田大学米式蹴球部とは、どんなチームでしょうか。

僕たちは日本一を目指しています。そのためにはどんな相手にも勝たなければなりません。勝つためにチームはどうするべきか、そして自分はチームのために何ができるのか。組織の中で、自分ができ得る役割を明確にしたうえで、自分たちで戦略を立てていく。そのような、学生が主体となって考え抜く力のあるチームだと思います。

こうした考え方は、社会に出て役立つものであり、部員はみな部活動を通して社会のために動ける人間になる、ということも常に目指しています。また、自分たちがプレーできるのはファンや地域の方々、OBOG等のご理解があってこそということも全員が認識し、感謝の気持ちを持って活動しています。

ー上下関係はいかがですか。

体育会というと厳しいイメージがありますが、そこまでではありません。1年生が4年生に意見することもできる、割と気さくな雰囲気です。仲が良いことはチームにおいてプラスになりますが、過度になると悪い意味で緩くなるので、その加減が難しいと感じているところです。

学生組織を立ち上げた目的とは

ー前回のインタビューでは、連盟担当になったことでチーム、ひいては大学アメフト界を俯瞰できるようになり、ある思いを抱いたことから学生組織を立ち上げたとお聞きしました。改めて、どんな学生組織を立ち上げたのでしょうか。

コロナ禍以降、低迷気味となっている観客動員数を自分たち学生の手で増やしたいと思い、その具体案を考え、実行するための組織「大学アメフト・スチューデント・ユニオン」(以下、ユニオン)を設立しました。

設立の目的は大学アメフトを盛り上げるためではありますが、観客増を考えることで、これまでどこか他人事だった問題を自分ゴト化し、大学アメフトに携わる学生一人ひとりに責任を持ってもらいたい、という思いがあります。これは、大学アメフトの信頼回復とさらなる発展も視野に入れてのことです。

また、僕のようなマネージャーだけでなく、マーケやトレーナーなどいろいろな立場の学生が集まることで、今まであまりできていなかった横のつながりを持つことができると思い、連盟に加盟している大学のみなさんに声をかけました。

ー観客増を実現させるために、具体的にどのようなことを始めましたか?

まずは、立ち上げ当初に検討会を実施しました。関東大学リーグは、一部の試合を東京ドームや横浜スタジアムで開催することがあります。それくらいの集客を見込める可能性があるということです。このような機会をもっと増やすには、試合をよりエンタメ要素のある魅力的なものにすべきだと考えます。そして、それには資金が必要ということになります。

それらを踏まえて検討会で出たのは、学生組織だからこそ生まれるメリットを最大限に活かそうということでした。言い換えれば、学生の立場をとことん利用しよう、ということです。

例えば、OBOGの方々との連携です。
自分たちには、社会に出て活躍されている数多くの先輩たちがいます。これまでつながりはありながらも、積極的な協力をお願いすることはありませんでした。

ですが、例えばスポーツマーケティングに長けた先輩からお話を伺うなど、知見やお力を借りることで、これまでにない魅力的な施策を打つことができると気づいたのです。

そういった施策により試合をイベント化させれば、集客を見込めます。広く注目されることで、スポンサー企業もつくはずです。そこから利益が出るようになれば、さらに手の込んだ演出をすることができます。そして大学アメフトを志す人が増え、競技全体の発展を期待できるのです。このような好循環を作ることが理想ですね。

いずれは大学と企業がマッチングできるようなプラットホームを作り、スポンサーを獲得できたらと考えています。ありがたいことに、ユニオンやアメフトに興味を持ってくださった企業さんが増え、現在は協賛の打ち合わせを始めています。

また、その検討会では、僕たちは学生だからこそ、学生のお客さんを連れて来ることができる、ということも共有しました。例えばサークルなど団体単位で見に来てくれたらいいという意見がありました。

検討会を経て、今では他にリーグ戦や東京ドーム、横浜スタジアムでの試合に向けて、ポスター・PVの作成や観客動員施策、会場演出の検討を行っています。

また、お子さんがもっと試合を楽しめるよう、子供向け施策として、試合会場に設置する体験ブースを製作中です。加えて、長期的なファン獲得と地域交流を深める目的で、大学の練習場がある地域の小学校でフラッグ教室の開催も模索しているところです。

組織作りで学んだこと、苦労したこと

ー組織を作るうえで、得られたものはありますか。

いろいろな立場の人たちと共に話し合うのはすごく大事なことだと思いました。みなさん、さまざまな考えのもと活動をしていて、それらを共有できたことで、新しい考えや視点を学ぶことができましたね。

組織には現在、25名が参加してくれています。僕は設立者ですが、組織内に上下関係はありません。担当分けをして、担当ごとに活動を進めています。

ー組織作りで苦労したことも教えてください。

自分の理想を作るところまでは、割と早く進みました。ですが、それを各大学のみなさんに理解や賛同をしてもらうための言語化や構造化がとても難しかったです。連盟の方に意見をいただきながら資料を作成しました。

今後は専門分野で活躍されているOBOGの方々にもアドバイスをいただきながら、解像度を上げて、活動に生かしていきたいです。

ー最後に、今後の展望をお聞かせください。

理想論で終わりたくないですね。
組織の立ち上げまでは実行できたので、卒業までにひとつでも多くの成果を残せるように努力しようと思います。

僕はこの組織に限らず、他のことでも理想を持って、それを実現するにはどうするべきかを考えてきました。ですが、もともとが心配性なので、なかなか行動を起こすことができなかったんです。

でも今回、連盟担当に携われたことから、思い切って動いてみました。もちろん不安な面もありますが、せっかくの機会を無駄にせず、さまざまな方面で助けをいただきながら実現できたらと思います。
これを読んで興味を持った人がいましたら、ぜひ一緒に活動したいです。大学アメフトをもっともっと盛り上げていきましょう。

全てを自分たちで行うのではなく、助けてくれる手があれば心置きなく頼る。それは、助言するOBOGのみなさんにとっても、大学生活の多くを過ごした部活動への恩返しとも言える、やりがいのあることに違いありません。大学アメフトはますます面白くなる! そう思わずにはいられないインタビューでした。早稲田大学米式蹴球部と合わせて、東さんの学生組織の活動にも目が離せませんね。貴重なお話をありがとうございました。


Criacao Shinjuku U-15
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