横浜国立大学硬式野球部
マネージャー:
栗林真子(くりばやし・まこ)さん
2003年10月14日生まれ。静岡県立磐田南高校を卒業し、横浜国立大学都市科学部に在学中。高校生から現在に至るまで硬式野球部のマネージャーを務める。元・名門高校野球部監督の父を持ち、幼少期から野球に親しむ。横国大野球部を強く魅力的なチームにすべく日々奮闘している。
ひと目でわかる! チームの特色
- 選手やマネージャーが主体的に発信する
- 広報・スポンサー獲得など班を作って運営
- 新たなファンを獲得するための取り組み
テレビや新聞の中にいる父に憧れた幼少期
横浜国立大学硬式野球部(以下、横国大野球部)マネージャーの栗林真子さん。数少ないマネージャーの一人として部を支えています。
マネージャーになったきっかけから大学野球部の業務内容、今後の目標まで幅広くお話していただきました。
ーもともとスポーツは何かされていましたか?
小学生の頃はテニスと水泳、体操を習っていました。あとは弟と一緒に少年野球をやっていたこともあります。中学時代は、バレーボール部でエースをやらせてもらっていました。
ー高校で野球部のマネージャーになられたのは、何かきっかけがあったのですか?
父の影響が大きかったです。父は強豪校としても知られている静岡高校野球部の監督を務めていて、ちょうど私が小学生から高校生の頃までは単身赴任で働いていました。その期間は、ほとんど父とは会えない生活。当時は、テレビや新聞の中にいる父に憧れの思いを募らせていました。
監督としていきいき働いている父の姿を遠くから見て、小学生の段階で既に野球部のマネージャーになることは決めていました。当時はあまり意識していませんでしたが、尊敬する父にどんな形でもいいから近づきたかったのだと思います。
自分はプレーできないけれど、支える側として野球の世界に入りたいと思ったのがきっかけでした。
ー実際に、高校野球部のマネージャーになってみていかがでしたか?
マネージャーの人数が少なかったこともあり、想像以上に激務でした。
主な業務内容は、練習中のタイムキーパーや選手へのドリンク運び。他にも食事準備や洗い物までしていたので、かなり忙しかったです。
でも、真夏の暑い中で「こんなんじゃ勝てない」「絶対甲子園に行くんだ」と言って、必死で頑張っている選手の姿を見て、私も同じくらいの気持ちで支えなければと使命感を感じました。夢に向かって全力で頑張る人を支えられることはすごく幸せでしたね。辞めたいとは一度も思わなかったです。
ー高校時代は甲子園には出場できたのですか?
目標にはしていたのですが甲子園の舞台には届きませんでした。ただ、最後の夏の大会ではベスト16まで勝ち上がることができたんです。いい形で高校生活を終えることができました。
ー大学でもマネージャーを続けると決めていたんですか?
いえ、決めていませんでした。
高校でのマネージャー生活をいい形で終われたので、もういいかなと思っていて。なので春の時点では野球部に入部しなかったんです。
大学では新しいことをしてみたいという思いもあり、サークルなどに入ったんですけど、今まで野球漬けの日々だったので野球なしの生活が寂しく、耐えられなくなってしまって(笑)。やっぱり自分は野球に携わっていないと駄目だと思って、10月に途中入部しました。
ー大学の野球部に入られてみていかがでしたか?
大学の野球部は、高校と違って学生主体で運営していることに驚きました。
高校時代は監督の指示に従い、厳しい練習に耐えることが求められていましたが、大学は全然違います。学生主体でどうしたら勝てるのか、今の自分たちに足りないものは何かを考え、練習メニューも全て自分たちで考えています。
ーマネージャーをしていて一番嬉しかった瞬間と苦しかった瞬間を教えて下さい。
嬉しかった瞬間は、自分を頼ってくれている選手がBチームからAチームに上がったり、試合でヒットを打ったときです。
苦しい瞬間は、選手が怪我をする場面に遭遇してしまうことです。試合で骨折したり、練習中に靭帯を痛めたり。怪我をした後も、そこから数か月何もできなくて「みんな頑張っているのに、俺だけ何をしているのだろう」とうなだれる姿を見るとすごく辛いですね。
マネージャーとしてやりたいことに挑戦できる環境が楽しい
ー横国大野球部の活動について教えて下さい。
横国大野球部では運営メインの運営軸と、プレーがメインの野球軸に組織を分け、学生主体で運営を行っています。
運営軸には広報班や新歓班、野球軸にはデータ班やトレーニング班などがあり、運営軸と野球軸の両方において、選手を含め全員がいずれかの班に所属しています。
ーマネージャーの仕事について教えて下さい。
マネージャーの仕事には、パソコン業務、グラウンドでの仕事、オープン戦やリーグ戦の運営という、大きく分けて3つの業務があります。
パソコン業務の中で私が最も注力しているのは会計です。会計を行うにあたり、透明性と正確性、計画性の3つを重視しています。
国立大学なので、部員が納める部費が収入の大半です。集めたお金がどのように使われているかを公開することで透明性を確保しています。
それ以外にも年間予算案を作成して正確性の維持に努めていますが、実際は予算通りにいかないことも多くて大変です。たとえば、トレーニングマシンが壊れたとか車検が通らないとか、予期せぬ出費もあるので。ついこの間、代替わりをして半年が経ったので、予算の見直しを行い修正会計を実施しました。
グラウンドの仕事だと掃除や、夏はドリンク作り。オープン戦やリーグ戦では、バックネット裏から記録用のビデオを撮ったり、広報用の写真撮影をしたり、あとは審判や相手校の対応をしたりします。
ー運営軸の班としては、ブランディング、スポンサーや広報などがありますよね。具体的にどういうことを行っていますか?
部の知名度向上を目的に、イベントを実施したり、Instagramの運営をしたりしています。例えば、広報班のメンバーがInstagramで選手対談企画をやったり、試合のPR動画を作ったり。あとは公式ホームページを作成して、新歓活動もしています。
これをきっかけに地域の方や神奈川の大学野球に興味がある方に横国大野球部のこと知ってもらい、応援してほしいという思いです。
マネージャーだけでなく選手も、広報活動に取り組んでいることも知ってもらいたいですね。
また、最近では新しい取り組みとして「青の会(横国大野球部ファンクラブの名称)」の運営も行っています。保護者やOB・OGの方、ファンの方向けに、InstagramやXなどでクローズドな情報を提供しており、その方々に対して年1回程度寄付のお願いしています。
今回のリーグ戦では、詳しい試合結果を配信したり、試合ごとに活躍した選手をピックアップしてインタビュー動画を作成したり。他にも2月に行ったキャンプの特集を組んでニュースレター的なものも作りました。
ー感触はどうでしたか?
試合を見に来てくれる観客も増えましたし、新入生も来てくれたおかげで新歓にも繋がったんじゃないかと思います。
発信力を上げてより多くの人に横国大野球部を知ってもらいたい
ー横国大野球部の魅力や好きなところを改めて教えて下さい。
好きなところは、やってみたいと思ったことにどんどん挑戦できる環境があることです。広報やスポンサーなど、部の為になることであればなんでも挑戦できますし、自分が社会人になったあとのキャリアにも役立つなと思っています。
ーこれまで3年間でどんなことに挑戦しましたか?
自分が挑戦した大きなことは、会計体制の刷新です。
私が会計を引き継いでからは監督などの力も借りつつ、本格的な年間予算計画を作成したり、部のお金の動きを全て記録した台帳をスプレッドシートで共有したりと、開かれた会計になるよう取り組んできました。
あとは公式ホームページをリニューアルしたり、Xでの個人活動を始めたりもしました。
ー自分から発信しようと思ったきっかけは何かあったんですか?
部の公式アカウントだけではやはり発信力が足りないという話になり、「発信するアカウントを増やせばいいのでは?」とXを始めました。
はじめは部員がそれぞれ個人アカウントを活用して、公式アカウントの投稿を引用ポストし、それによって拡散力向上を図っていました。最近は私や選手が、マネージャーの日常や選手紹介もしています。
私のアカウントでは、始めた時は300人程度だったフォロワーが、開始から1年くらいで約1,100人まで増えました。今も横国大野球部の知名度が上がればいいなという気持ちで取り組んでいます。
また、個人アカウントでXの運用を始めてから、たくさんの方にリプライやDMを通じて反応をいただき、横国大野球部が多くの方に応援されていることをあらためて実感しました。
今後は、発信だけではなく自分もフォローして他の人の考えを知っていきたいです。
ー最後に、個人とチーム、それぞれの今後の目標を教えて下さい。
個人の目標は、引退までにXのフォロワー2,000人を達成することと、当番校の業務をやりきることです。
神奈川の大学野球1部リーグは6校で構成されており、その中で毎年当番を回しています。当番になった大学を当番校と呼び、1年間リーグ戦などの運営を行うのですが、それが私の代で回ってきたので、やるからには頑張りたいです。
チームとしての目標は、直近で言うと5月の最終週に入れ替え戦があるので、そこで絶対に勝って1部に残ること(※)。今年のリーグ戦は今のところ8連敗。悔しい結果を秋のリーグ戦で挽回したいです。
また、関東大会に行くためにも、1部リーグ2位以内を目指したいと思います。
※本取材は2024年5月に実施しました。春シーズンは1部6位で終了、春季入れ替え戦の結果1部残留を果たしています。
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