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「One Team」を掲げ、さらなる挑戦を続ける大東文化大学アイスホッケー部

大東文化大学アイスホッケー部

監督:

酒井優好(さかい・まさよし)さん

北海道苫小牧市出身。駒澤大学附属苫小牧高等学校、大東文化大学を卒業後、1978年より大東文化大学アイスホッケー部のコーチに就任。2001年から監督としてチームを指揮し、指導歴40年以上。長年の経験を活かし、学生主体のチーム作りと選手の成長を支える。

主将:

袴田平(はかまだ・たいら)さん

愛知県出身。小学3年生でアイスホッケーを始め、小6で全国大会優勝を経験。中学では県選抜として全国大会に出場し、高校は八戸工業大学第一高等学校に進学。高校時代はインターハイに出場。大東文化大学に特待生として進学し、現在は主将としてチームを牽引している。

ひと目でわかる! チームの特色

  • トレーニングや戦術など学生主体で活動
  • 運営方法に部員の意見が通りやすい
  • 比較的オフが多く学業と両立しやすい

1966年に創部された大東文化大学アイスホッケー部。今年は「One Team」をスローガンに掲げ、全員で勝利を目指すチームとして成長を続けています。今回は、酒井優好監督と主将の袴田平さんに、チームの特徴や目標についてお話を伺いました。

画像提供:大東文化大学アイスホッケー部

選手主体のチーム運営で、一人ひとりの考える力を伸ばす

―アイスホッケーとの出会いについて教えてください。

袴田:小学3年生の夏休み、家族でスケートリンクに行ったのが、アイスホッケーとの最初の出会いでした。リンクの一角で行われていたアイスホッケーを見て「カッコいい!」と心奪われたのを今でも覚えています。スケートも十分楽しかったのですが、それ以上にアイスホッケーには特別な魅力がありましたね。

ー実際にアイスホッケーを始めるに至ったきっかけは?

袴田:夏休み中にスケートリンクに通う中で、一人黙々と練習する選手が目に留まりました。その姿があまりにカッコよかったので、母親譲りのコミュ力で思い切って話しかけてみたんです。彼は1つ年上の先輩で、話していくうちに自然と仲良くなり、ホッケーの面白さや練習方法についてたくさん教えてもらいました。彼との交流がきっかけで、「やってみたい!」という気持ちが大きくなり、小3からアイスホッケーを始め、現在に至ります。

ー現在のチームについてもぜひお聞きしたいのですが、大東文化大学アイスホッケー部の雰囲気や特徴について教えていただけますか?

袴田:選手主体で活動しているチームなので、全体的に自由な雰囲気があります。僕自身は「勝ちたい」という気持ちが強い方ですが、トレーニングはやるべきことだけ提示して、あとは各自に任せています。自分で考える力を伸ばしてほしい、そんな思いがあるからです。

そして氷上練習は、週3回深夜に行っています。リンクを貸し切る都合もあってのことですが、水曜日はオフで、土日の練習試合もどちらか1日は休みになることが多いです。強豪校ではオフが週1日のこともあるので、それに比べるときつい方ではないですね。その代の主将の方針によってチームカラーが変わるため、部員の意見が反映されやすい自由な環境だと思います。

それ以外にも、試合になると集中力ややる気が一気に高まるのも、うちのチームの特徴です。普段のトレーニングや練習試合ではそこまで集中力が続かないこともありますが、本番になると全員が同じ方向を向いて戦います。ただ、それが試合のときだけというのが課題です(笑)。メリハリがあると言えば聞こえはいいですが、集中力を持続させるための取り組みは必要だと感じています。

―主将という立場で、その課題を解決するために心がけている行動があればお聞かせください。

袴田:選手を褒めるようにしています。やっぱり褒められると嬉しいですし、それがやる気につながるんじゃないかなと。だから、良いプレーがあれば「今の良かったよ!」と直接声をかけるようにしているんです。こうした声かけが、選手たちのモチベーションに多少なりともつながっている気はします。

もちろん改善が必要な場面では、その点も伝えます。ただ、いきなり指摘するのではなく、まずは褒めるんです。「今のプレーも良かったけど、こうするとさらに良くなるよ」という言い方。そうやって伝えると、選手も前向きに受け止めてくれることが多いですね。

画像提供:大東文化大学アイスホッケー部

「キーパーは彼女だと思え!」印象に残っている監督からの言葉

―指導で大切にしていることは何でしょうか。

酒井:練習でできないことは、試合でもできない。これが私の基本的な考えです。そのため、選手一人ひとりが意識を高く持ち、練習に真剣に取り組むことを大切にしています。個々がしっかりと取り組むことで、結果的にチーム全体のレベルアップにつながると考えています。

また、ポジションごとに役割はありますが、私が目指しているのは、6人全員で守り、6人全員で攻めるホッケーです。例えば、フォワードだけが攻撃するのではなく、ディフェンスやゴールキーパーも含めて、全員が一体となってプレーする。この「全員ホッケー」の意識を持つことが、チームの強さに直結すると考えています。

―監督としてチームを率いてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。

酒井:昨年春の大会で、46年ぶりに早稲田大学に勝利したことです。選手たちが試合を通じて得た自信と成長を目の当たりにした瞬間でした。この勝利は、チーム全体の努力の結晶であり、私自身にとっても忘れられない試合となりました。

―チーム運営において、酒井監督とはどのように役割分担をしていますか?

袴田:基本的には僕ら選手に任せてくれています。戦術も自分たちで考え、練習メニューはヘッドコーチが中心となって組んでくれるので、普段のやりとりは監督よりヘッドコーチとの方が多いですね。

一方で、監督はチーム全体を見守りながら、僕たちがプレーしやすい環境を作ってくれています。試合中のアドバイスはとても心強いです。監督の一言で気持ちが切り替わるし、自信を取り戻せた瞬間が何度もありました。

ー監督からのアドバイスで印象に残っているものはありますか?

袴田:試合中のアドバイスで印象に残っているのは「自分たちのチームのキーパーは、自分の彼女だと思って守れ!」という言葉です。アイスホッケーは体をぶつけ合う激しい競技で、特にゴール前は接触が多く、キーパーがスティックで叩かれてしまうこともあります。それを絶対に許さず、キーパーを守るために自分たちでシュートブロックするんだ、という考えを分かりやすく示してくれた言葉でした。

僕が1年生のときに言われたこのアドバイスは、チーム全体でゴールを守るという意識を改めて教えてくれるもので、今でも心に残っています。

画像提供:大東文化大学アイスホッケー部

「One Team」を掲げ、強い組織づくりを目指す

ー入部方法について教えてください。

袴田:ほとんどがスポーツ推薦での入部ですが、一般で入る選手もいます。ただ、一般入部の場合でも経験者がほとんどです。僕個人としては、相当な覚悟とやる気があれば、未経験でも挑戦してほしいと思っています。仮に試合に出られなくても、その選手の頑張りがチーム全体に良い影響を与える瞬間が必ずあると思うので。

入部の判断は最終的にスタッフ陣に委ねられますが、アイスホッケーに情熱を持ち、本気で挑戦したいという気持ちがある方には、ぜひ一歩踏み出してほしいと思います。

―他競技からアイスホッケーに転向する場合、特に馴染みやすい競技などはありますか?

袴田:バスケットボールは結構似ていると思います。どちらも5人制で、攻守の切り替えが非常に早いので、動きのリズムや連携の感覚が近いかなと。なのでバスケ経験者は、他競技の選手に比べて馴染みやすいと思います。

また、アイスホッケーは試合中ずっと動き続けるスポーツです。その中でシュートやパスを正確に行うには、持久力や筋力が欠かせません。そういった意味では、体力をしっかり鍛えてきた人も、適応しやすいと思います。

―チームとして目指している目標を教えてください。

袴田:今年は「インカレベスト4」を目標にしています。そして、スローガンとして「One Team」を掲げました。この言葉には、強い組織を作りたいという思いが込められています。

ラグビーに限らずですが、日本代表のプレーやインタビューを見て感じるのは、全員がチームのために自己犠牲の精神を持って動いていることです。試合に出るメンバーは全力でプレーし、控えのメンバーは練習や試合中のサポートなどを通じてチームに貢献する。それぞれの役割を全員が理解し、一丸となって勝利に向かう。その一体感こそがチームを強くする原動力だと改めて実感しました。

一流のチームは、勝つために変なプライドを捨て、全員が同じ目標に向かっています。僕たちのチームも「One Team」の精神を大切にし、全員で同じ方向を向いて行動できるチームを目指したいです。

画像提供:大東文化大学アイスホッケー部

アイスホッケーの魅力は「音」にある

―大東文化大学アイスホッケー部だからこそ学べることとは何でしょうか。

袴田:学業との両立が求められるため、自然とハードな生活になりますが、その分タフさが鍛えられる環境だと思います。それ以外にも、今の部活に入ってから物事を広い視野で考えられるようになりました。さまざまな意見を踏まえ、自分の考えをしっかり伝えられる力が身についたと思います。

酒井:この部では、困難を乗り越えられる人間を育てることを目指しています。部活動の中で部長、監督、コーチ、そして4年生から1年生までが一つの組織として連携することで、社会に出たときに必要な縦と横のつながりや組織の動きを体感してもらっています。その経験が、社会で活躍する土台になると思っています。

袴田:ホッケーを通じて、壁にぶつかったときに「これも自分の人生の一部だ」と捉える力が身につきましたね。ただし、所属しているだけでは何も得られません。目標に向かって本気で取り組むことで、経験や成長につながると感じています。結果よりも過程が重要で、その中で得られるものが一番の財産だと思います。

ー最後に、アイスホッケーの魅力を教えてください。

袴田:アイスホッケーは「氷上の格闘技」と言われることがありますが、その表現がもっと広まってほしいと思うくらい、まさにその通りの競技だと思います。バスケットボールのようなスピード感、ラグビーのような激しさ、そしてフィギュアスケートのような氷上を滑る華やかさ。これらが一つの競技に詰まっているのがアイスホッケーの魅力です。

画像提供:大東文化大学アイスホッケー部

それから、アイスホッケーならではの音も魅力の一つです。氷を削る音や、パックがレシーブされるときのパンという音、スティックがぶつかり合うカチャカチャという音。他のスポーツでは聞けない独特の音が出るのが面白いですし、そうした音が競技の臨場感をさらに引き立てていると思います。

その中でも僕が一番気に入っている音は、ゴールが決まった瞬間に鳴るゴールホーン(ブザー)。シュートが決まると鳴り響くその音が試合を盛り上げてくれます。大学のリーグ戦でもゴール時にブザーや音楽が流れるので、ぜひその音にも注目しながら試合を楽しんでほしいですね。

部員主体というだけに、いろいろなことを考えながら部活動に打ち込んでいるという印象を受けました。アイスホッケーを通して、貴重な4年間をどう過ごすかは自分次第と言えます。ですが、志高い仲間と共になら、勝つという目標に向けて自分を技術的にも精神的にも高めることができるに違いありません。貴重なお話をありがとうございました。



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