ETTC
代表：
岩崎樹（いわさき たつき）さん
奈良県で小学1年生から卓球をはじめ、高校は強豪・生駒高等学校でプレー。京都産業大学に入学後に、高校時代の友人とETTCを設立。卒業後はNSC（吉本総合芸能学院）に通い、現在はお笑い芸人として活動する傍ら、趣味として卓球を続けている。
部員：
亀田智士（かめだ さとし）さん
奈良県で8歳から卓球をはじめ、奈良学園高等学校では奈良県インターハイ予選シングルス3連覇を果たす。同志社大学進学後は、関西学生リーグ1部でレギュラーとして活躍。大学卒業後も社会人プレーヤーとして全日本選手権に出場するなど、高い実力を誇る。
ひと目でわかる！ チームの特色
- 代表が高校時代の友人と設立したチーム
- 奈良県の同世代で結成
- 学生時代の感覚のままいられる場所
2024年の全日本クラブ卓球選手権で見事ベスト8入りを果たした、奈良県のクラブチーム「ETTC」。
お笑い芸人としても活躍中の岩崎樹さんが、大学1年生のときに立ち上げたこのチームは、今年で11年目を迎え、メンバー数も60人を超えました。
今回は代表の岩崎さんとETTCのエース亀田智士さんに、チームの特徴や雰囲気についてお話を伺いました。
大学入学後に友人とチームを設立
ーまずはETTC立ち上げの背景について教えていただけますか？
岩崎：私は奈良県で、小学校1年生から高校3年生まで本気で卓球に取り組んできました。
大学でも部活で卓球を続けるつもりでしたが、スポーツ推薦で全国から集まるハイレベルな選手たちに追いつけず、入部を諦めたんです。
ただ、卓球自体は好きで続けたい思いがありましたし、高校時代には仲の良い同世代の選手たちと「いつか大人になったら一緒にクラブチームを作ろう」と話していたこともあって、想定より早かったのですが大学1年生のときにETTCを立ち上げました。
ー高校時代からクラブチームを作る構想はあったのですね。
岩崎：奈良県内の他校の選手とも仲が良かったので、よく「クラブチームを作って一緒のチームで試合に出たいね」と話していました。
その中でも特に仲の良かった友人の安藤輝くんと2人で、ETTCを立ち上げたんです。
画像提供：ETTC
ーチームを立ち上げたばかりの頃はどのような活動をしていましたか？
岩崎：立ち上げた当初は、友人の安藤輝くんと僕で、奈良県を中心にオープン戦や公式戦などほとんどの試合に一緒に出場していました。
高校時代はライバルだった同世代の選手が多く集まっていたので、昔の思い出話で盛り上がりながら、高校時代の延長で楽しくやろうというようなモチベーションで活動していました。
ー現在はどれくらいの規模になったのでしょうか？
岩崎：現在は部員数が約60人まで増えました。
最初は自分たちの1つ下の代が「岩崎さんたちと一緒にやらせてください」と言ってくれて、そこから数珠つなぎのように下の世代がどんどん入ってきて、幅広い世代のメンバーが参加するようになりました。
自分や安藤くんら初期メンバーが30歳なのですが、今は20歳のメンバーもいるので、10歳差があります。ただ、世代間の垣根を感じさせず、男女みんなで仲良く楽しく活動しています。
ー年齢差があってもチームとしてまとまっているのですね。
岩崎：各選手のコミュニケーション能力が高いので、どんな世代のメンバーとも良好な関係を築けています。また、新しく加わったメンバーを温かく迎え入れる雰囲気もあるため、スムーズに溶け込めているんだと思います。
昨年の忘年会には久しぶりに私も参加したのですが、かなり盛り上がっていましたね。「メンバーがこんなにも多くなったのか！」と立ち上げた頃を思い出して、少し感慨深くなりました（笑）。
“奈良の星”加入で初の全国ランク入り
画像提供：ETTC
ー 今年の全日本クラブ卓球選手権ではベスト8入りを果たされました。創部初の全国ランク入りを振り返るといかがでしたか？
岩崎：すごいですよね、本当に。
これまでETTCは毎年全国に行っていたわけでもないですし、全国大会に出ても予選リーグ敗退で終わっていたので、驚いています。
本当におめでとうございます！と出たメンバーには伝えたいですね。
亀田：ありがとうございます（笑）。
画像提供：ETTC
ー岩崎さんは出場されなかったのでしょうか？
岩崎：そうですね、チームの若手が中心となって活躍してくれました。
私は大学卒業後にお笑い芸人を目指してNSC（吉本総合芸能学院）へ通い始め、同時期に高校卒業後すぐに就職した安藤さんも社会人4年目で仕事が忙しくなっていたんです。
そこからはETTC立ち上げ当初のときのように頻繁に試合に出たり練習したりはできなくなり、徐々に中心メンバーが下の世代に移っていきました。
今は全国大会で活躍した選手も所属していて、チーム全体の実力も上がっています。
画像提供：ETTC
ーなるほど、実力者の加入が大きかったのですね。
岩崎：特に同志社大学出身で、言わずと知れた“奈良の星”亀田智士が加入したことで、チーム全体の実力が一気に上がりました。
ー亀田選手は高校時代、奈良県ではほぼ無敗と伺いました（笑）。関西学生リーグ1部のレギュラーで戦っていた亀田選手の加入は大きいですね。
岩崎：奈良県内のチームであれば「喉から手が出るほど欲しい」と思われてるのではないでしょうか（笑）。
亀田：入れていただき、ありがとうございます（笑）。
ー今回のクラブ選手権では、前回ランク入りのシードチームを2回戦で倒しての勝ち上がりでした。亀田選手はどう振り返りますか？
亀田：初戦から3-2勝ちのギリギリでした。ラストで高松英陽さんが1-1の3-7くらいから逆転して勝ってくれたんです。
続く2回戦の相手はシードチームでしたが、元プロ選手が欠場していたこともあって、なんとか勝利できました。ベスト8決定戦では自分が0-2の0-3くらいからひっくり返して、またもや高松さんが逆転勝利。接戦を潜り抜けてのランク入りでしたね。
岩崎： 私は帯同できていなかったので、チームのグループLINEで試合結果を楽しみに待っていました。
ただ、卓球の試合結果よりも宿舎で楽しむ様子や美味しそうな食事ばかりが送られてきた記憶があります（笑）。
亀田：気のせいです（笑）。本気で勝ちを意識し過ぎると逆に勝てなくなるので（笑）。
学生時代の感覚のままいられる場所
画像提供：ETTC
ーETTCを立ち上げてよかったなと思った瞬間はありますか？
岩崎：先ほど少し話した昨年の忘年会のときですね。
ーそれはなぜでしょう？
岩崎：奈良県の卓球界で自分より上の世代は、卓球を続けている人がどんどん少なくなってきています。
でも、下の世代の選手たちがこうして自分のチームに入って、今も卓球を続けてくれている。忘年会で顔を合わせた時、「こんなにたくさんの選手がいるんだ」と感じて、ETTCが下の世代のプレーを続けるきっかけになれているかも、と嬉しくなりました。
他にも土日に卓球以外でもETTCで集まっているという話を聞くと、「このチームが、みんなにとっての居場所になっているんだな」と勝手に想像して嬉しくなりますね。
亀田：確かに、最近ゴルフに行くこともありますね。
岩崎：それぞれ人間としては成長していますけど、不思議と学生時代の感覚のままいられる場所になっているのかなと。
思い出話になったら、毎回高校時代の同じ試合の話をしてる奴とかいますからね（笑）。
ーいいですね！社会人になってからも懐かしい気持ちに戻れる場所がETTCということですね。
岩崎：そういう風なことを感じて、去年の忘年会は1人でノスタルジーに浸ってましたね。
本当にチームを作ってよかったなって思いました。
ー今後、チームとして掲げている目標はありますか？
岩崎：目標…あるんですかね？自分が作ったチームなのに、実はあんまりはっきりと定めていません（笑）。
そもそも立ち上げた時に「限りなく部活に近いぐらいのモチベーションでやるけど、勝ち負けにこだわりすぎない」という方針で始めました。
ただ、せっかくやっているので全国には行きたいなくらいは思っています。
画像提供：ETTC
奈良県の卓球人口増加にも一役買っているETTC。立ち上げ人である岩崎さんと安藤さんの意志を継ぎ、若い世代がチームを盛り上げています。学生時代の部活のような気持ちを持ちつつも楽しみながら戦っていることが伺え、社会人の青春が垣間見えるインタビューでした。
 |
チームが気になったら…
ETTC |