タクミ卓球クラブ
代表:
花井康成(はないやすなり)さん
「初心者が卓球できる場所がない」という課題感をきっかけに、卓球未経験ながら卓球場をオープンさせた。現在は卓球場を経営する傍ら、Tリーグ男子・琉球アスティーダのカメラマンとしても活動している。
ひと目でわかる! チームの特色
- 卓球未経験で卓球場をオープン
- 日本トップクラスの労働環境
- 卓球業界が抱える課題を解決するための取り組みを続けている
愛知県長久手市にあるタクミ卓球クラブは、“卓球初心者を受け入れる”ことを重視して運営しています。
そのコンセプトには、卓球未経験ながら卓球場をオープンしたオーナーの花井康成(はない・やすなり)さんの、卓球業界に対する思いが関係していました。
今回は花井さんに、タクミ卓球クラブ開業のきっかけから今後の展望まで、様々なお話を伺いました。
“初心者のことを一番に考えた”卓球場を開業
ー花井さんは卓球未経験だとお伺いしました。なぜ卓球場を開業されたのでしょうか?
きっかけは娘が中学校で卓球部に入部したことでした。「卓球場でレッスンを受けてみては?」とアドバイスされ、近くで卓球場を探してみたんです。でも見つかったのは、小さい頃から本格的に選手育成をしている強豪クラブばかりでした。
もちろん初心者も受け入れてくれるとは思うのですが、本気で卓球をしている子たちの中にいきなり初心者が入るのはハードルが高いと感じました。
誰でも最初は初心者なはずなのに、受け入れてくれる場所がない。これはおかしいと感じ、卓球場経営について調べ始めました。
すると、そもそも卓球場の数自体が少ないことを知り、「これはビジネスチャンスかも」と思い、開業に至りました。
画像提供:タクミ卓球クラブ
ー娘さんがきっかけでビジネスチャンスに気づいたのですね。
この卓球場を始めた一番の理由は、娘のような初心者が気軽に通える卓球場がないという課題を解決したかったからです。
そのため、我々はあくまで初心者を中心に考え、楽しんで卓球ができる環境作りを第一に考えています。
卓球未経験ならではの苦労も
ー卓球未経験で卓球場を開くのは、かなりの苦労もあったのではないでしょうか?
本当に何もわからなかったので、最初は苦労しました。
卓球台を置けるスペースさえあれば大丈夫だと思っていたのですが、実際には後ろや横に相当なスペースが必要だと知るなど、初歩的なところから洗礼を浴びました(笑)。
もちろん自分では指導ができないので、コーチを探して雇うところも大変でした。
今はコーチ2名体制ですが、あと2人は増やしたいと思っています。
ーどんどん生徒が増えているということですね。
ありがたいことに生徒さんの数はこの2、3年で順調に増えてきています。
しかし、長く通っていると当然上手くなる子も出てきます。その場合、今の形式だと初心者の子たちの中に上手い子が混ざる形になるので、お互いの満足度が下がってしまうんです。
上手い子と初心者の子を分けて練習させたいのですが、そうするとそれぞれを見るコーチが必要になります。
こういった背景に加えて採用も難しく、今はコーチが不足しているという状況ですね。
コーチに必要なのは高いコミュニケーション能力
ータクミ卓球クラブでは、どういうコーチを求めていますか?
コーチに求める能力は大きく分けて2つあります。1つは高度なコミュニケーション能力、もう1つは動画やSNSなどの発信力です。
生徒の大半が小学生以下なので、その年代の初心者に楽しく卓球を教えられることが重要です。
基礎的な練習がメインということもあり、卓球のスキルよりも子どもたちと適切なコミュニケーションが取れるか、楽しませる工夫ができるか、これら2点を重視しています。
画像提供:タクミ卓球クラブ
ー2つ目の発信力というのはどういうことでしょうか?
YouTubeチャンネルを開設しているのですが、現状では動画編集まで手が回りきっていません。SNSの知識があり、情報発信のサポートができる方が理想です。
ただし、これは付加的な要素で、しっかりとコミュニケーションを取れることの方が優先度は高いです。働きやすい環境を整えているので、興味のある方はぜひご連絡ください。
ー働きやすい環境というのは、具体的にはどういうところでしょうか?
基本的には8時間労働の週休2日で有給休暇はもちろん有り、残業や休日出勤はありませんがもしある場合はしっかり支給します。
これらは当たり前の環境なのですが、スポーツ業界ではブラック労働と称されるような部分が多いのでできるだけ排除していきたいです。
画像提供:タクミ卓球クラブ
ーなぜそのような環境を実現できているのでしょうか?
この環境が実現できているのは、効率的な収益構造を作り上げているからなんです。
例えば我々のクラブでは、外部の予約システムを導入して、お客さん自身で予約の管理ができるようにしています。アナログ作業がなくなるためコーチの負担が大幅に減り、その分をレッスンの質向上や他の業務に充てることができています。
そういう他の事業では当たり前でもある細かな部分を卓球事業に応用しています。
タクミ卓球クラブを支える2人のコーチ
ー今、いらっしゃる2人のコーチは、コミュニケーション能力も含めて指導スキルが高いということでしょうか?
今いる河村安紀コーチと三枝晃記コーチは、スキルが非常に高いので安心してクラブを任せられます。
河村コーチは中国出身の元実業団選手、三枝コーチは関西の大学生でダブルスチャンピオンにも輝いており、実績も十分です。
河村コーチは中国式で教え方が上手い。初心者の子にとっては少し運動量が多いので、上達し始めてから指導を受けることをオススメしています。指導を受けた選手はしっかり伸びていますね。
逆に、三枝コーチはそのあたりの感覚もわかっているので、お年寄りから小さい子どもまで幅広く指導してくれています。
ー三枝コーチはラージボールで全国入賞するなど、プレーヤーとしても活動されていますよね。
そこもタクミ卓球クラブで働く1つの特色です。選手として大会に出ながらコーチをできる環境があります。
時間内にきちんと業務をこなしてくれれば、終業後や休日に卓球場で練習することも可能です。
むしろプレーヤーとして最先端の卓球に触れていることで、現代的な指導へバージョンアップできると感じています。
画像提供:タクミ卓球クラブ
「初心者歓迎」という方針は変わらない
ー最後にタクミ卓球クラブとしての今後の展望をお聞かせください。
現在、長久手市のスポーツ協会と組んで、不定期で無料の卓球教室を開催しています。まずは卓球に触れて、卓球の楽しさを知ってもらうことが目的です。
今後も「卓球に興味のある子が体験できる場所がない」「初心者の子がちゃんとした指導を受けられない」という課題を解決できる卓球場として続けていきたいですね。
ー「初心者のために」という気持ちは一貫していますね。
「初心者歓迎」という方針は今後も変わりません。地域と連携しながら初心者の子たちに卓球を楽しんでもらえる環境づくりを進めていきます。
そこからステップアップして「もっと強くなりたい」という子たち向けのレッスンも提供予定です。
さらには、運営面をもっと仕組み化していければ、お客さんに「通いやすい」と思ってもらえる上に、働く側の負担も減らせます。そうすればいずれは2店舗目、3店舗目と卓球場を増やしていけますし、卓球をプレーする人も増やせると思うので、その実現に向けて精力的に取り組んでいきたいですね。
卓球未経験ながら卓球場を運営する花井さん。初心者を大事にする方針や卓球コーチの労働環境改善など、花井さんはビジネスの知見を活かし、卓球業界が抱える問題に正面から向き合っています。タクミ卓球クラブのような卓球場が増えていくことは、卓球人口の拡大や卓球界の明るい未来にも繋がっていくのではないかと感じました。
チームが気になったら…
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