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八村、河村、渡邊は? 男子バスケ「日本代表の勝利ポイント」を徹底解説!

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パリ大会、数ある種目のなかでも、注目度の高い競技の1つがバスケットボールです。元女子バスケ日本代表で、現在は2024年度3x3日本代表サポートコーチを務める伊集南さんに、男子バスケの見どころをお聞きしました。

教えて、伊集 南さん!
男子バスケ、日本はどう戦う?

タレント揃いの日本代表の特徴やポジション別の推し選手&ポイント、初戦のドイツ戦予想等、観戦がさらにワクワクすること間違いなしの、伊集さんによる独自解説をお届けします。

伊集さん バスケは制限時間内にどれだけ多くの点を獲れるかを競うスポーツですが、シュート以外にも、着目すると面白いポイントがあります。

例えば選手が5対5で戦うなかで、どれだけ数的優位を作って得点につなげられているか。2対2で攻めていたり、1対0、つまりノーマークになったり。どちらのチームが数の優位性を持って攻撃しているのかに注目すると、点差が離れたり、拮抗したりする理由が見えてくるかなと思います。

また、リング付近の長方形エリアにボールが何回侵入しているかを見るのも、どちらのチームにシュートチャンスが多いのかがわかります。

観戦初心者の方は一度にさまざまな部分を見るのは難しいと思いますが、シュートやドリブルといった華やかなプレーの他にも、見るべき要素はたくさんあるのがバスケ観戦の醍醐味だと思います。

他にも、DJによる音楽やそれに合わせたファンの方々によるディフェンスコールなどもならではのものです。ぜひこの機会に、バスケの魅力にハマっていただきたいですね。

#1 史上最強? 日本代表の特徴

ーまず、現在の日本代表はどんなチームと言えますか?

ディフェンスからの速い攻めを意識した、よく走るチームだと思います。また、歴代トップクラスの選手たちが揃っていて、過去の日本代表のなかでも最強と言えるのではないでしょうか。シュート力がある、ディフェンスだけが強いというのではなく、ドリブルやパスを含めた個人のレベルが高いんですね。日本バスケのスタンダードが上がったと断言できます。

そこを引き上げたのが、NBAプレーヤーである八村塁選手と渡邊雄太選手。また、長年日本代表を経験している富樫勇樹選手、馬場雄大選手の功績も大きいでしょう。

そして、トム・ホーバスヘッドコーチの存在も外せません。みなさんご存知の通り熱い人です。重視するのは、アジェスト(調整能力)よりもエクスキューション(実行)。コートに出てチャンスがあれば打ってほしいと選手を鼓舞し、打てなければベンチだよと、勇気を持たせて、各選手のやるべきことを徹底させる力を持っています。

選手との信頼関係をしっかり築くことができているのは、勝ちたい、強くなりたい、ステップアップしたいと、選手と同じ目線で気持ちを伝えてくれるからかなと思います。選手に寄り添うことができる人ですね。
彼が選手を信じて、さまざまなことを問いかけてきたからこそ、今のチームがあるのだと思います。

#2 強化試合の韓国戦でモヤモヤした人へ

ー6月末にオーストラリア、7月頭に韓国との強化試合が行われました。どう思われましたか。

最後の強化試合となった韓国戦では、FIBAランキングで格下相手に最終日は勝ったものの初日は敗戦という結果に。これを見て不安に思った人もいるかもしれません。

ただ、オーストラリア戦も含めて、本番前の強化試合には八村、渡邊の両選手は出場しませんでした。

この2人の活躍が戦いの行方を左右すると言っても過言ではありません。ですから、韓国戦での日本は本番同様の戦略は立てられなかったですし、加えて選考の場でもありました。つまり、韓国戦の結果は気にする必要はないと思っています。

#3 ポジション別! 注目すべき選手とプレー

ー続いて、ポジション別に推し選手を挙げていただき、各特徴やプレーの見どころをお願いします。

<ポイントガード(PG)>

河村勇輝選手です。彼のすごいところは、賢さもそうですが、ディフェンスでもオフェンスでも流れを変える力を持っていること。ただ、小柄という部分で、やはり高さのミスマッチは攻守ともにずっとついてしまうので、そこを持ち前のクリエイトする力とシュート力でカバーしてほしいですね。

<シューティングガード(SG)>

比江島慎選手です。彼の爆発力は、日本代表にはなくてはならないものだと思います。自分の力で1対1で切っていける力、決め切る力はピカイチです。2023年に沖縄で開催されたFIBAワールドカップ2023のような“比江島タイム”を見てみたいですね。また、同じ歳なので個人的にもめちゃくちゃ応援しています。

<スモールフォワード(SF)>

馬場選手です。同ポジションの渡邊選手ももちろん推しですが、馬場選手の献身的なディフェンスからのブレイクが楽しみ。流れを変えるきっかけになるプレーなので期待しています。また、外から飛び込んでリバウンドを取ってくれるのも頼もしいです。粘り強く戦うためには、彼は欠かせない選手の1人です。

<パワーフォワード(PF)>

言わずと知れた日本を代表する選手、ハ村選手です。彼がコートにいるだけで日本チームのエネルギーやスタンダードが引き上げられます。オールラウンダーなプレーを含め、スピーディなバスケにコミットしている八村選手を見るのが楽しみです。ワールドカップや国内の親善試合では彼のプレーを見ることができませんでしたが、彼なら日本を牽引してくれるでしょう。
一次リーグ敗退という残念な結果に終わった東京オリンピックの悔しさをぜひパワーに変えて魅せてほしいです。

<センター(C)>

ジョシュ・ホーキンソン選手です。本当にタフで、優れた能力の持ち主です。誰よりもリングに向かって走ってくれたり、リバウンドを粘り強く取ってくれたり、ハードなディフェンスをしてくれたり。きつい時こそ頑張って、チームを助けてくれる選手です。
彼の日本名(ニックネーム)は、「鷹大(たかひろ)」なんですよね。鳥の鷹は飛翔力があり、大きな獲物を掴み取ることができます。彼もまさしくそのような存在だと思う。日本のためにひたむきに戦う姿は、彼のキャラクターや発言からも感じ取ることができます。

#4 初戦のドイツ戦、勝機を掴むポイントは?

ーこの陣営で迎え撃つ初戦の相手は、ドイツです。見どころを教えてください。

ドイツは、FIBAワールドカップ2023の優勝国です。召集メンバーには、同大会でMVPを受賞したデニス・シュルーダー(ラプターズ)もいます。まずは彼をどうやって抑えるのか、これが大きなポイントとなるでしょう。加えて八村選手を警戒して、ディフェンスの質をさらに上げてくるのではと思っています。

FIBAワールドカップ2023もドイツが日本の初戦であり、しかも日本が負けてしまいましたが、何が起きるかわかりません。今回は勝ち切ってほしいと思いますし、可能性は十分にあります。

ー日本以外で、注目の国や選手もお聞きしたいです。

フランスのビクター・ウェンバンヤマ選手(サンアントニオ・スパーズ)と、同代表のルディ・ゴベア選手です。ハイポストからローポストにつないで点を決めるハイローなど、身長の高い選手たちが繰り広げるオフェンス戦術は異次元です。同グループの日本は2戦目に当たります。日本がどう止めるのか、とても楽しみです。

そして、アメリカ代表のレブロン・ジェームズ選手率いる最強メンバーも注目です。

#5 大切なのは、BELIEVE(ビリーブ)!

ー最後に、総評をお願いします。

世界のトップ選手と対峙する大舞台は、男女ともに何が起こるかわからない戦いとなるでしょう。大切なのは、それこそ日本代表を追ったドキュメンタリー映画のタイトルにもなっている“BELIEVE”です。

自分たちの強みやできること。それらを信じる力があれば、きっと強くなれる。昨年のワールドカップで確信できたことを、ぜひこの機会でも実証してほしいです。決勝戦はアメリカvs日本となることを私は楽しみにしています。


監修:

伊集南(いじゅ・みなみ)さん

沖縄県出身。NBAに魅了されて中学からバスケをはじめ、糸満高等学校卒業後、筑波大学ではインカレ優勝、ユニバーシアード日本代表にも選出。卒業後はデンソーで活躍、3x3日本代表に選出。引退後は同社に嘱託社員として在籍しながら2024年度3×3女子日本代表チームのサポートコーチに就任。ほか、3x3代表部会、3x3委員会に所属、Wリーグの理事も兼務。

 

 

パリ大会

 
予選日程・対戦:※カッコ内はFIBAランキング(2024年2月27日現在)
2024年7月27日(土) TIPOFF 20:30 日本(26位)vs ドイツ(3位)
2024年7月30日(火) TIPOFF 24:15 日本(26位)vs フランス(9位)
2024年8月2日(金) TIPOFF 18:00 日本(26位)vs ブラジル(12位)

開催期間:2024年7月26日(金)~8月11日(日)/バスケットボール競技:7月27日(土)~8月11日(日)
会場:ベルシー・アリーナ(パリ)、スタッド・ピエール・モーロワ(リール)
参加国:男女各12か国
 

男子グループフェーズ組み合わせ

 
【グループA】オーストラリア(5位)、ギリシャ(14位)、カナダ(7位)、スペイン(2位)
【グループB】日本(26位)、フランス(9位)、ドイツ(3位)、ブラジル(12位)
【グループC】セルビア(4位)、南スーダン(33位)、プエルトリコ(16位)、アメリカ(1位)
※国名の下のカッコ内は2024年2月27日現在のFIBAランキング
※男子予選グループフェーズは2024年7月27日~8月5日、準々決勝は8月6日、準決勝は8月8日、決勝戦および3位決定戦は8月10日に開催予定
 

AKATSUKI JAPAN 12名

 
#2 富樫 勇樹 (PG / 167cm / 千葉ジェッツ)
#4 ジェイコブス 晶 (SF / 203cm / ハワイ大学)
#5 河村 勇輝 (PG / 172cm / 横浜ビー・コルセアーズ)
#6 比江島 慎 (SG / 191cm / 宇都宮ブレックス)
#7 テーブス 海 (PG / 188cm / アルバルク東京)
#8 八村 塁 (PF / 203cm / ロサンゼルス レイカーズ)
#12 渡邊 雄太 (SF / 206cm / – )
#18 馬場 雄大 (SF / 195cm / – )
#24 ジョシュ・ホーキンソン (C・PF / 208cm / サンロッカーズ渋谷)
#30 富永 啓生 (SG / 188cm / – )
#34 渡邉 飛勇 (C / 207cm / 信州ブレイブウォリアーズ)
#91 吉井 裕鷹 (SF / 196cm / 三遠ネオフェニックス)

※所属は2024年7月8日現在
※ポジション(P)=PG-ポイントガード、SG-シューティングガード、SF-スモールフォワード、PF-パワーフォワード、C-センター
※JBA公式サイトより抜粋

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