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「勝利する方法を見つけました」予選敗退から脱却し春高バレー初出場を決めた監督の指導術

福岡女学院高等学校バレーボール部

監督:

大谷弘之(おおたに・ひろゆき)

外部コーチとして中学や高校での指導後、県立高校の監督に初就任。その後2023年より現職。就任早々、インターハイベスト16、春高バレー初出場など好成績を立て続けに更新中。

ひと目でわかる! チームの特色

  • AI技術やデータ分析をもとにした組織バレー
  • 「楽しくのびのび」がモットー
  • 人間力を育てることも指導の一環

初の春高バレー出場。躍進の秘訣は「組織バレー」

 

 

ーこれまでの指導歴について教えてください

元々は中学や高校のバレー部で10年以上にわたり外部コーチをしていました。指導した学校は約6校に及び、関わった全ての学校で県内ベスト4以上の成績を記録。全国大会を目指せるレベルまで各チームを強化することができました。

そして次第に監督というキャリアを考えるようになったんです。指導を始めた頃はコーチングそのものに興味を持っていましたが、指導者として自分の可能性を広げたいという思いが強まり、監督になる道を選びました。

ー初めて監督を務めた感想は?

県立高校のバレー部だったので、それまで外部コーチを務めていた私学のバレー部とは少し状況が異なりました。なかでも一番の違いは、スポーツ推薦制度がないこと。部員は全員、一般受験をして入学した地元の生徒たちです。当然、以前指導をしていたチームとは違い、目指すものも変わりました。当時の目標は県内のトップ校に勝つこと。しかし残念ながら、全国でも名の知れたその高校に勝つことはできませんでした。

この経験を通じて、指導者としての目標を改めて見つめ直しました。その結果、自分は監督として選手たちと共に日本一を目指したいんだなと気づいたんです。一度しかない人生ですし後悔はしたくないなと思い、以前よりオファーをくださっていた福岡女学院高等学校に移り、指導者として新たなスタートをしました。

ー昨春に就任早々、インターハイや春高バレー出場を決めるなど、結果を出し続けています。強さの秘訣はどこにあるのでしょうか?

私たちのチームの強さは、データ分析を活用した組織バレーにあります。それによって選手一人ひとりの能力が存分に発揮され、現在の結果につながっているのかなと思います。

しかし着任前はインターハイ1回戦敗退、地区予選でも5位に留まるなど、決して満足のいく成績ではありませんでした。その原因の一つに、黙々と練習をする文化があったと思います。真面目に取り組む姿勢自体は素晴らしいのですが、組織バレーをする上ではその真面目さがマイナスに作用していました。

そこで着任後、まずはその雰囲気を一新させるため、声を出すことの大切さについて強調。今では選手同士で活発に意見を交わすようになり、雰囲気も明るいものになりました。根本である文化の部分から変えたことが、インターハイや春高バレー出場に繋がったと思います。

ー組織バレーを成功させるために、コミュニケーション以外で大切にされていることはありますか?

チームで決めたルールの遵守ですね。例えば、ストレートをブロックする際に、クロス側にレシーブを固めるのは、我々にとっては絶対的な約束事なんです。もしこれが守られなければ、失点に繋がりますし、その失点は負けに繋がるわけです。他にもチームには多くのルールがありますが、連携プレーを成立させるためには、選手一人ひとりがルールを守ることが必要不可欠です。そのため日頃から選手たちには高い意識を持ってプレーするよう促しています。

 

 

人間性を育むことも指導の一環

 

ー指導方針について教えてください

バレーに関しては、楽しくのびのびをモットーにしています。ですから練習中に怒ることはありません。一方で、礼儀やマナーに関しては厳しい態度を取ることもあります。いずれ社会に出たときに必要となる人間力を身につけさせることも、私の指導の一環です。

ー礼儀やマナーについて、具体的にはどういったことを指摘されているのでしょうか?

例えば、挨拶を怠ったり、来客の方がいらしているのにスリッパを用意しなかったり。周囲への配慮や気配りの欠けた行動には、私も怒ります。多くの選手たちは、何でもやってもらえて当たり前という感覚でいますが、社会に出ればそうはいきません。ただ待っていても物事は進みませんし、そのような姿勢でいて困るのは彼女たち本人です。ですから将来のことも踏まえて、バレー以外の部分、特に人間性を育てることにも注力しています。

ー気配りはバレーにも通じるものがありそうです

そうですね。通じていると思います。実際、普段から気配りができていないと、試合中も他のメンバーを思いやるようなプレーはできませんから。選手たちにはバレーにも繋がってくるよという話はしています。

また、うちは中等部があり、中高一貫での指導を行っています。基礎基本の考え方や、勝利に対する心意気などを6年間で統一することで、選手が指導方針に迷うことなく過ごせると思っています。もちろん高校からの入学生もいますが、統一感のある集団に属すると、意外と抵抗なく馴染むことができています。そのためにも、指導者だけでなく、後援会(保護者会)ともこまめに情報共有をしながら、部の運営につとめています。

 

ーチームが目指すビジョンや目標を教えてください

現在はコート内で声を掛け合いながらコミュニケーションを取っていますが、将来的にはさらに上のレベルを目指しています。つまり、言葉を交わさずとも、選手同士が意思疎通を図れるような状態を作りたいです。

例えば、レシーブの際に他の選手が何を考えているか、どこにボールを上げるかを、声を出さずに察知できるようになってほしい。このような暗黙の了解が生まれることで、連携プレーはよりスムーズになりますし、そのレベルで相手のことを理解できれば、チームはより確実なプレーを展開できるはずです。

ー指導にAI技術やデータ分析を利用しているとのことですが、具体的にはどのように使われているのでしょうか?

私たちのチームでは、相手選手が打つコースのデータを収集し、それを基に戦略を立てています。ではそのデータをどのように活用しているかと言うと、分析によって分かった相手選手の得意なコースをレシーブで確実にブロックし、2番目に得意なコースに打たせるよう誘導します。しかし、私たちは2番目、3番目に得意なコースも分かっているため、相手選手は次第に不得意なコースに打たざるをえなくなり、ミスが起こりやすくなるんです。この方法はとても効果があって、データの価値を実感しています。

ーその戦術を実践するにあたり、選手たちへはどのように指示を出していますか?

レシーブを受ける選手たちには、コート内の指定の位置を表す番号を教えて、そこに移動するよう指示します。場所をピンポイントに伝えるので選手も迷わず済むのがメリットです。一般的な「もっと右へ」「もっと前へ」といったアバウトな内容では、指示通りに選手が動いてもミスになることもあります。さらにそのような選手に責任のないミスでも、失点すれば怒られてしまうこともあるんですよね…。曖昧な指示によるミスは指導者に非があると思いますし、言われた通り動いたにも関わらず選手が怒られるのはあまりに理不尽です。私としてはそのような状況を生まないよう、明確な指示を心掛けています。

 

「第2の親」として選手たちをサポート

 

ー卒業生たちの進路について教えてください

実は、多くの選手が高校卒業と同時にバレーを辞めており、その背景にはいくつか理由があります。一つは本当の意味でバレーを楽しめていなかったということ、もう一つは大学で続ける自信がない、または続けるにしても未知の環境に対する不安から一歩を踏み出せないということ。

卒業生の中には、バレーを続けたかった選手もいたと思います。私としては、今このチームにいる子たちが同じ問題に直面しないよう、バレーを楽しいと思えるような指導やプレーでの成功体験を通じて自信を育てています。また、大学のバレー部がどのような環境で練習しているかも可能な限り伝えています。今では、大学でもバレーを続けたいと考える選手が増えました。

ー選手たちの進路に対して何かアドバイスをされたりもしますか?

基本的には彼女たちの意志を尊重しているので、私から積極的にアドバイスすることはありません。大学からスカウトが来ることもありますが、特定の大学への進学をすすめることもないです。

一方で、相談があれば喜んで答えます。選手一人ひとりのプレースタイルや能力を考慮したうえで、どこの大学のバレー部が合うか助言しますし、将来のキャリアプランから逆算したうえで学部選択の相談にも乗ります。実際に進路が決定した際には、私の方で推薦枠を確保することもあります。

 

 

ーバレーのことを踏まえて進路相談ができるのは選手たちからすると心強いですね

やはり彼女たちが大人になったときに、キャリアのことで悩んでほしくないという気持ちが強いです。余談ですが、1年生が入部する際に、自分は彼女たちの「第2の親」であると伝えています。普段からそのつもりで接しているので、礼儀やマナーに対して厳しいことも言いますし、進路に悩んだときは真剣に相談に乗ります。私としては本当に自分の子供のように思っているので、卒業後のことはバレー以上に気をかけています。

ー最後に、福岡女学院高等学校では「こんな人を待っている!」というアピールをお聞かせください

私たちのチームは、高校バレーで日本一を目指す熱意ある選手を歓迎します。現時点でのバレーの技術は問いません。重要なのは、本気で日本一を取るという情熱です。もちろん技術的に優れているに越したことはありませんが、それよりも頂点を目指す強い意志を重視しています。私の使命は、やる気に満ちた生徒たちを一流の選手に育て上げ、共に頂点に辿り着くことです。ぜひ一緒にその夢を追いかけましょう。

 


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